表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/74

手柄と赤竜勲章

「それではこれより此度の戦についての報告と今後の対策、豊穣祭についての議論を開始する」

 玉座の間にて、オルダニネス国王の横に控えた宰相の宣言と同時に、大臣貴族全員が跪く。フリザス第三王子を除いて。

 ガブネス王子も此処にはいなかった。


「我が息子ヨハネス第四王子の配下レイス殿、フィリム公爵令嬢、剣聖クレア殿方及び……フリザス第三王子によってディラスト王国は被害もなくアーロン皇国の襲撃も無事解決した。此度の活躍、大変大儀であった」


 オルダニネス国王の発言で俺とヨハネスとフィリムとクレアは国王の前で跪く。


 フリザス王子はその横で相変わらず「かっかっか」と笑いながら場の雰囲気を乱していた。

 更に参加していた大臣や貴族がザワザワと響めき始めている。


「おい……フリザス王子は牢で幽閉されていたはずでは?」

「戦争だから陛下が出したのでは?」

「それよりもまたあの気味悪い魔眼の新人が陛下の前で……なんと恐ろしい」

「どうせフリザス様の前では何も出来ていないくせに功績だけ残そうとする卑怯者だろうが」

「それに比べ、フリザス第三王子は、さぞご活躍されたことでしょう」

「そうだ、あの魔眼の者は、フリザス様のおこぼれを貰おうとする愚か者よ……」


 小声で話していても俺たちの所にまで会話は聞こえてくる。玉座の間だというのに好き放題言われている。

 横にいるフリザス王子は、ザワザワとした玉座の間に大声で叫んだ。


「かっかっか!! テメェら。全部聞こえたんだよ!」


 怒号に大臣達の会話はなくなり、再び静かになった。


「言っておくが、今回の戦争相手、話にもならんクズどもだ。俺様じゃなくても、此処にいる剣聖クレアでも一人で殲滅しただろうよ! だが俺様は暴れたかっただけだ、かっかっか!! だが、そんな中、コイツは役に立った」


 そう言って跪いている俺を引っ張って無理やり起立させられた。

「コイツは俺様の手間を省く今回の貴重な存在だった、かっかっか!!」


 再び玉座の間が荒れてしまう。


「まさか……あのフリザス王子が、あのような者を褒めるだと……?」

「信じられん……。フリザス様、お気は確かなのだろうか……」

「昔のフリザス様は人を褒めるようなことは決してしなかったお方が魔眼の薄気味悪い者などに……」


「かっかっか!! 文句があるならテメェら自身でコイツらに勝てるくらい強くなることだな! だがこれだけは全員に言っておく。今回の相手では俺様は不満だ。戦があるならば俺様を呼ぶが良い。戦争を吹っかけてくる国など俺様が滅ぼしてみせよう。かっかっか!!」


 フリザス王子は、玉座の間でも御構い無しに言いたいことを言ってその場から姿を消した。

 今まで黙っていたオルダニネス国王も口を開いた。


「レイス殿達の報奨は後ほど行う、一旦下がるがよい」

 俺たちは一例をして玉座の間の後方まで下がった。


「さて……戦争を被害なく終わらせたこの者達の功績も大きいが、もう一つ、国に貢献する実績を残した者がいる」


「ダイン第一王子。此度の活躍、大変ご苦労であった。出てくるが良い」

「フッ……これしきのことで……」


 さっきまでそこにいなかったはずのダイン王子が玉座の片隅に姿を表していた。ダイン王子は、玉席の前にゆっくりと歩いていき、膝くこともなくただ立っているだけだった。


「ダイン第一王子は、此処より遥か北国に住むドワーフ族との貿易交渉を成功させたのだ」


「まさか! 人間では交渉はおろか会話すらコントロール不可能とされてきたドワーフと!?」

 大臣の一人が声を出して発言してしまう。それを聞いたダイン王子は不気味に笑いながら説明をした。


「フッ……私が力をだせばこの程度のこと……ドワーフ謹製の工芸品や武具を大量に手に入れただけのことだ。フッ……だが、これは次期国王が好きに使えば良い」


 玉座の間に拍手がおこる。


「アイツ、フリザスより警戒した方が良いわね」

「そうであるな。ドワーフの工芸品や武器は大量の質が良く、一点集めるだけでギルドランクBに想定する難易度に相当するはず。更に大量に手に入れたともなれば功績も大きい」


 フィリムとクレアは、ダイン王子も後継者争いに関与してくるのではないかと言う。


「静粛に! 結論を述べる。双方、今回の功績は非常に大きなものになる。フリザス第三王子は今後牢に入れず解放。レイス殿、フィリム公爵令嬢、剣聖クレア殿方には【赤竜の勲章(戦闘功績)】を授与する。以上だ」


 俺は一瞬、何故ダイン王子には報酬がないのだろうと疑問に思ったが、更にオルダニネス国王は続ける。


「私からの国王として最後の指示になるであろう。此度のディラスト王国への戦争、まだ終わったわけではない。後日行う豊穣祭でも厳重な警戒を継続し、民衆の安全を守るよう全力を尽くしたまえ」


 俺たちは赤竜の勲章を授与され、今回の招集は終了した。


 そして間もなく運命の豊穣祭が始まろうとしていた。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

広告の下に⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎があるのでそちらから面白ければ★★★★★、面白くなければ★⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎と評価頂けると嬉しいです!

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ