撤退と最終手段(前半ガブネス王子視点)
「父上。ボクを呼んだのは何故ですかネ?」
「うむ。すまぬが、先程お前の配下達、戦場に行かせた者達に早急に撤退命令を下してほしいのだ」
「なんで急にそうなったんですかネ!?」
ガブネス王子はオルダニネス国王陛下に呼び出され王室にやってきた。ヨハネス達が王室に来る前に兵士達を送り込む報告をしていたのに、急に撤退だと言われて焦るガブネス王子。
「すまぬな、フリザスが地下牢から出て先程ヨハネス達と話をしている最中に此処へ来おった」
「ネ!?」
「本来ならばヨハネス一味とお前たちの兵が共闘し迎え撃てば勝機が上がると推測して互いの部隊を出陣することを願った。しかし、フリザスが出陣するとなると話は変わってくる」
「なんでですかネ!?」
ガブネス王子は自分の功績のためだけに高い金を払ってまで戦争を起こすという茶番を作り出した張本人。
しかし、目的の手柄を掴むどころか、他人に横取りされてしまうと思うと焦っていた。
「フリザスは王都でも最大規模の鉄壁の牢を破り此処へ来た。そのような者に加えて剣聖クレア殿やレイス君までおるからな。まず負けることはないと私は推測する。それに、フリザスの過去の経緯から考えても、お前の兵士達に危害が及ぶ可能性もあるのだ」
「わかりましたネ……」
ガブネス王子は魔道具通信トランシーバーを使って現場にいる兵士隊に渋々撤退を命じることになった。しかし、ガブネスが素直に従い、早急な撤退を命じた理由は他にもあった。
──こうなったら、最後の手段なんだネ……。
何をやっても失敗ばかりするガブネス王子は、王子としての立場も考えられない程に理性が壊れ始めた。
その中で唯一考えられた悪あがきのような作戦が、ガブネス王子の今後の人生を地獄に突き落とすものだった。
♢
「なんだったんだあいつらは! ど素人の集まりのような情けない兵士どもだった! 俺様をガッカリさせやがって……」
「フリザス王子、強化魔法も魔道具も使わずに生身であの力を出せるのですか?」
クレアはフリザス王子の圧倒的な力に興味を示しているようだった。
「かっかっか! そんなもん俺にはいらん。俺様がこの世で一番強いんだからな!! 剣聖というんだから俺様を見習って鍛錬するこったな!」
ご機嫌になったかと思ったら、クレーターの方を見て再び怒り始めた。
「かっかっか……こうなったらアーロン皇国にこのまま攻めて、国ごと破壊するか!」
それではただの残虐行為じゃないか。
しかし放っておけばまた攻めてくるかもしれないし、俺はフリザス王子の今の状況を落ち着かせるにはこれしか選択肢がなかった。
「一旦王宮に戻って報告した方がいいかと。オルダニネス国王陛下のご意見も伺ってから行動に出るべきかと思います」
「かっかっか! 俺様に意見を言うとはやるじゃねーか!! ……まぁ良いだろう。どうせいつでも潰せる!」
『かっかっか』と永遠と笑い続けるフリザス王子を連れて、俺の魔眼の瞬間移動で一気に王宮へ戻った。
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