戦争と出発(ガブネス王子視点)
ガブネス第二王子は、過去にヨハネスの暗殺を何度も失敗し、スプリンに任せた毒殺も失敗。更に、ヨハネスに全てバレていたことを知り発狂と苦痛の毎日が続いていた。
そんなある日。
「ガブネス様、調子は回復しないんですナ……?」
「最悪だネ。ボクはこのままでは豊穣祭の後、処刑されるか教会送りなんだネ。スプリン。君のせいなんだネ! どう責任とるつもりなんだネ!?」
「何も言葉が出ないんですナ……」
ようやく落ち着きを取り戻し会話が出来るくらいになったガブネス王子は自分の今後の運命を考えるだけで、部下のことは何も考えられないでいた。
「こうなったら、収穫祭までに、ボクが功績をウンと上げて、民衆から注目されるように頑張るしかないんだネ」
「素晴らしいお考えですナ!!」
ガブネス王子が正攻法で行動をすることなど今まで一度もなかったため、スプリンはこの発言にとても感動していた。
「思いついたんだネ! アーロン皇国を使うんだネ」
ディラスト王国から南東に位置する国、不可侵条約を交わしているためお互い特に関与はしていなかったが、ガブネス王子はアーロン皇国と内通していた。
「戦争をするんだネ!」
「ナ!?」
「こうなったら孤児院とギルドから稼いでいたボクのヘソクリも全部アーロン皇国の大臣達に渡すんだネ。ディラスト王国に攻めて来て欲しいってお願いするんだネ!」
「ナ!? ナ!? ナナ!?」
スプリンには、ガブネス王子が何を考えているのか見当もつかず、不正で稼いだお金まで使って戦争など起こしてどうするのだと思っていた。
「ただし戦争はフェイクなんだネ。攻めてくるフリをしてもらって、ボクの管理している騎士団送り込んで追い返して、国を護った手柄で一気に名誉を得るんだネ!」
「あぁ……そういうことなんですナ……」
スプリンはこの発言にとてもがっかりしていた。
ガブネス王子が正攻法な行動をするわけがなかったと改めて思ってしまったのだから。
「何か不満でもあるんだネ?」
「いえいえ! さすが、ガブネス様ですナ!」
「勝つと分かってるからネ。騎士団も一番使えない雑兵を適当に送り込んでおけばいいんだネ。わざわざ強い兵は送り込む必要もないんだネ」
ガブネス王子は早速準備に取り掛かり、自ら王宮を留守にして交渉しに出かける。
この作戦は、ただの金の無駄遣いにしかならないと知らずにご機嫌な表情でアーロン皇国へ向かうガブネス王子だった。




