孤立と毒(ガブネス第二王子視点)
ヨハネスからレイス達に休暇命令を下されていた頃、ウイガルとガブネスは次の作戦を練っていた……のだが、超聴覚能力を持つウイガルは汗を流しながらガブネス王子に頭を下げていた。
「ガブネス王子、やはりヨハネス王子達の会話が聞こえません」
「なんでなんだネ? 以前はウイガル君の聴覚でレイス君の情報を掴めたんだよネ?」
「は。ヨハネス王子の周りだけ会話が聴き取れない状況です……」
今までウイガルの超聴覚で王宮内の隔離されていない部屋ならば、会話や物音を捉えることができた。
ウイガルは頭を傾げる。
「ヨハネスは慎重だから仕方ないネ。きっと、暗殺事件なんか起こしちゃったから一層警戒して魔道具でも使っているのかもネ」
「どうしますか?」
「困っちゃうネ……、バルスの妻だったルーラだっけ? あいつはうるさいだけで使えないし、……あ! ボクの部下使ってアイツら始末してもらおうか」
ガブネス王子は大急ぎで部屋から飛び出し、部下を連れてきた。
「コイツはボクの直属部下のスプリンだネ。普段は良い子にしてるんだけど、ボクの悪巧みも知っているし、ボクを影で守ってくれてた凄く使える良い子良い子だから、信用できるんだね」
スプリンの存在はウイガルも超聴覚のスキルのおかげで、どんなことをしていたかは知っていた。
ヨハネスの食事の時間にヨハネスの前に度々姿を現しては珍しい食材をヨハネスに渡していることも。
果たしてどのようにスプリンは暗殺をするのかウイガルは興味を示していた。
この会話は、ウイガルが同じ部屋にいるため、ヨハネスは当然この会話も盗聴しているのだった。
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レイス達が海に行っている頃、ガブネス王子達は警備がガラ空きで好機だと喜んでいた。
「ウイガル君の情報だと、レイス君たち、王宮にいないみたいなんだネ。スプリン! 今のうちにヨハネスをなんとかするんだネ!」
若手の近衛兵のスプリンがはしゃぎ始めた。
「ようやくあの醜き魔眼王子を殺れるなんて光栄なんだナ」
「スプリン! リングベルド伯爵をもあっさり捕まえたうちの一人だぞ! 大丈夫なのか?」
ウイガルは過去の失敗からとても心配していた。
「なんとかなるんだナ。俺様があの魔眼王子にどれだけペコペコさせられて屈辱を受けたかなど知らない癖に。あいつの近くで偵察をしていたからナ。奴の弱点は把握済みなんだナ!」
「良いよ、良いよスプリン! 何か必要なものはあるんだネ? 用意してあげるんだネ!」
「では、毒のご用意をお願いしますんだナ」
スピリンがヨハネスに毒を使う時点でウイガルは嫌な予感しかしなかった。ヨハネス程の者であれば、毒などすぐにバレてしまうんじゃないかと心配で仕方がなかった。
スプリンは毒殺でヨハネスを倒す準備を始める。
ウイガルが同じ部屋にいるため、ヨハネスは当然この会話も盗聴しているのだった。
♢
「毒なんてボクはこっそりと沢山持っているんだネ。これで頑張るんだネ!」
ガブネスがどこからか持ってきた瓶に入った猛毒をスプリンに手渡した。
「では早速行ってきますんだナ」
自信満々にスプリンは部屋を出て、ヨハネスのいる大きな食事部屋まで何食わぬ顔で移動した。
常にヨハネスの近くで仕事をしていたスプリンだからこそ、簡単に接近ができたのだった。
「お食事中失礼いたしますんだナ」




