石化と綺麗
フィリムの右目からとてつもなく強力な光が発動した。
その矛先は……。
「「な!?」」
俺もクレアも拍子抜けした。
なぜグール化バルスに魔眼を使わないのか。
だが、俺はすぐにフィリムの姿を見て、理解した。
フィリムの魔眼でギルドの職員と人質のクララを石化させた。
グール化バルスが石化したクララや職員に攻撃をするが、全く傷がつかない。
「今よ!!」
「しょ……承知!!」
クレアはグール化バルスに大剣で攻撃を仕掛け、ザガル同様にバラバラにした。
魔眼でもダメージを殆ど与えられなかったのに……、クレアの大剣は凄まじい攻撃力を秘めている。
確かにグール化した二人は倒せた。
しかしクレアには代償があるように思えてしまう、クレアは石化したクララを見ながらその場にしゃがみ込んだ。
「クララ……」
「ごめんなさい……素早く動いている者は石化魔眼が効かない……だから、今はああするしか……もう少し魔眼の訓練をしていれば石化の解除だってできたはずなのに……でもすぐに訓練して石化は解除させるわ」
その表情は固く、何度も深呼吸する姿はいっそ痛々しい。
でも、俺は確信していた。
未だにフィリムの目からは光が発動しているが、フィリムの魔眼は既に……。
「大丈夫。フィリムの眼は、綺麗だから」
俺はフィリムに近づいて両手でフィリムの肩の上に乗せた。そして、フィリムの顔を俺の顔の位置にもってきて間近で見つめた。フィリムの魔眼の光を直接俺は浴びている。
「レイス!! 今私と目を合わせたら……え? 石化……しない?」
フィリムの魔眼は発動している状態が続いている。しかし、俺には今のフィリムなら絶対に大丈夫だと確信していた。
「大丈夫っていっただろ? ほら、その眼でクララを見れば……」
石像と化していたクララは徐々に固い石から人間の姿に戻り、石化が解かれた。
気がついたクララは、怪我で負傷しているクレアの元へ飛んでいった。
「おねえちゃん!」
「クララ。無事でよかった!」
「おねえちゃんその怪我……」
「なにを言っているクララ。私はこの程度どうってこともない。魔獣にタックルを喰らった時と比べればこんなのかすり傷にもならんだろう」
二人は泣きながら抱き合っていた。
「私……いつの間にか魔眼をコントロール出来るようになってたのね……」
「あぁ、毎日俺が寝た後に訓練していたし、魔眼のエネルギーも嫌な感じがしなかったし」
「レイス知ってたの!?」
「勿論。フィリムはいつも陰で頑張る人って知ってたから」
「レイス……私……私……」
フィリムがそのまま嬉し泣きをして俺にそのまま抱きついてきた。
一国の公爵令嬢様ともあろう方が……。
客観的に見たらいい感じの雰囲気に見えてしまうかもしれない光景に遠慮なくクレア達が俺達のところへ近づいてきて一礼をしてきた。
「レイス殿! 世界樹をレイス殿が守ってくれたから今回の行動が出来た。レイス殿には感謝しても足りない程感謝している」
「戦闘では役に立たなかったけどね。ところでこれ、どうする?」
フィリムを抱きながら視界に入っている俺の目線の先はギルド上層職員。
今も石化して固まっている。フィリムが立ち上がって上層職員に目線を向けた。
「上半身だけ石化を解除するわ。あとはそのまま捕らえて王宮へ連れて行きましょう」
ギルド上層職員の上半身だけ石化が解除された。流石に下半身が石化していればどうすることも出来ない。
「ひぃっ!?」
ギルド上層職員は下半身の異常に気がついて手だけがジタバタしている。
バラバラになってしまったグール化したザガルとバルスも証拠のためにマジックボックスに収納……。できれば収納したくなかったんだが、誰も触ろうともしないし、マジックボックスなら触れることもないから……。
しかしマジックボックスの中が……余計な事を考えるのはやめておこう。
ギルド上層職員を簡単に捕らえて王宮へ連行していった。
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