フィリムと石化【フィリム過去編】
私には生まれてからずっとお母様がいなかった。物心ついた時から、使用人やお父様、セバスに聞くようになった。
「ママはどこー?」
「遠くからお嬢様を見守っておりますよ……」
ずっと私のそばにいてくれたセバスに聞いても答えてくれなかった。
「あたち、ママに、あいたいのー」
「……」
セバスは何も言えないでいた。
私が魔眼で殺してしまっていたことをこの頃は教えてくれなかった。
そして、私の右目は王都の最高レベルの魔道具と数名の魔力を加えた【封印の秘薬】という魔力も魔眼も暫くの間使えなくする薬を定期的に飲まされていた。
それがあまりにも不味く、吐き出しそうになると、口と鼻を押さえられ、逆流してきてもしっかり飲み込むまで離してくれなかった。
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時は流れ、私が王宮で国務を習うことが増えた。
誰だったかは覚えていない。けれど、王宮の誰かが私に対して暴言をはいてきた。
「かっかっか……フィリムちゃん! 魔眼で母親殺しても王宮に出入るするなんざ、100年早い」
「わたしがまがん? おかあさまを? デタラメいわないでください」
「かっかっか……その証拠にフィリムちゃんの目の魔眼は封印の秘薬で使えなくしているだけだろ。かわいそうに。誰も教えてくれないなんてな」
そのまま何処かへ姿を消していった。
私は急に疑心暗鬼になって私の家に帰ってセバスに聞いた。
すると、お父様とセバスが頭を下げながら私に今まで黙っていた魔眼のことも生まれてすぐにお母様や助産師を石化魔眼で石化させてしまったことを教えてくれた。
「お嬢様、申し訳ございません。小さきお年頃ではまだ判断がつかない故、苦悩の末、大きくなるまで黙っているつもりでした……まさか王宮にこのことを知っている者がいたとは知らずに……」
お父様やセバスは頭を下げるしかできなかったのかもしれない。
王宮には、このことは今まで知られていなかったのに、急に私がお母様を殺した噂が広まった。
王宮に行くたびに嫌がらせと屈辱と侮辱の言葉を受ける日々。
母を殺した呪われた子として、後ろ指さされて生きていく。
私はもう要らない子。もう死んでしまってもいい。幼馴染で仲良しのヨハネスに私は泣いて相談した。
「フィリム、今まで黙っていたが、俺も……。ほら、見るがいい」
ヨハネスの目には魔眼が宿っている事を初めて知る。
「どうだ? 俺のこと嫌いになったか?」
「きらいじゃないもん。ヨハネスはヨハネスだもん!」
「そうだろ? 俺もフィリムはフィリムだと思っている。心配するな。今は辛い世界かもしれん。だが、俺が必ず、この魔眼でいつの日か世界を変えてみせる。きっと必ず!」
私はヨハネスにしがみついて大泣きをした。
「フィリム、それに、その魔眼で苦痛を感じるならば、自ら封印する方法もある。ただし、その際に死ぬよりも苦しい激痛がおこる。封印の秘薬もあるし無理することはないがどうしても辛いならば」
「わたし……まがんをふういんする!」
こうして私はヨハネスに封印のやり方を教わり、とてつもない激痛に耐えながら自ら魔眼を封印して、自身の魔眼から逃げ出した。
目の色がただのオッドアイになってから、自然と、王宮の人間は私に対して暴言をはかなくなり、嫌がらせも激減した。
封印したことで感謝すらした。
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更に時が経って、私はお父様譲りの元気なおてんば娘になっていた。国務よりもギルドの冒険者に憧れたりすることに憧れもした。
私はたまたま王都で散歩をしていた時に連続空き巣の犯人を目撃して、追いかけた。
犯人はなかなか素早くてなかなか追いつけない。
その先にいた男の子に助けを求めた。
「そいつ捕まえて!!!!」
「え!?」
私はダメ元でも声をかけるしかできなかった。声をかけた子は見るからにボロボロの服でとても頼れなさそう。
しかし、その男の子の目の前に急に何かが現れて空き巣は見事に転がった。
「ぎゃふん!!」
気がつけば何かが現れていた物はすぐに消え、男の子は空き巣を取り押さえる。
「今のうちに!」
「任せて!」
私はこの子が気になりながらも、私は持っていたロープで男をぐるぐる巻きに縛り上げた。
レイスと名乗るこの子は凄く臭うし服装もひどい。それでも、どうやって捕まえたのか気になったし、悪い子ではなさそうだと思って御礼も込めて私の家に招待した。
魔眼を使えることも知った。
そして、まさかレイスがヨハネスと同じように、
『魔眼も好かれる世の中にしたい、綺麗な世界を作りたい』
という言葉を聞けるなんて思わなかった。
運命だとも思えた。この子をヨハネスと合わせたらきっと……。
♦︎
私は二人の魔眼持ちに触発され、今まで封印していた魔眼と改めて向き合うことにした。
私の魔眼を操れるようにコッソリと練習を始めた。
石化魔眼は本来、対象を選べる。
そして、石化した相手を解除することだって……。
しかし、私が殺してしまったお母様達は、石化してから日がたちすぎてもどらない……。
それでも、レイス達をこの魔眼で守れるのなら……。
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そして、今、その時が来た。




