グール化と責任
「父上……」
ギルドの応接室の更に奥の部屋から現れたのはバルスとザガル伯爵。
「忌々しい小僧め、お前にもはやそう呼ばれる筋合いはない! やはりあのとき、殺しておけばよかったか!」
殺気が物凄い。その目つきはまるで獲物を狩るときの野生動物のような。
「なんでアンタまでいるのよバルス伯爵!!」
「クックック……相変わらずフラフラと遊びまわっているようですなフィリム公爵令嬢。もちろん、テメーら全員皆殺しのためだ!!」
二人は同時に変な薬を飲み始めた。
「さぁ、私の最大の失態にして最悪のダメ息子。ガブネス王子からいただいた身体強化の薬を飲んだ私に、その醜い魔眼が効くかな?」
「身体強化? 父上、何を言っているのです? 身体強化薬はそのような瓶に入っていません。確かあの品は魔力で包まれた錠剤のはずですが。それに身体強化薬ならばとっくに皮膚が赤色に変色し、効果が出るはずです」
「バカめ! こわいからとそのような冗談を……」
「クックック……試してやろう。まずは剣聖クレア! お前だ。お前を倒せば俺は英雄だ……クックック」
ザガル伯爵は持ち前の身体能力を活かしてクレアに飛びかかるが、クレアはあっさりとかわし、ただの拳のパンチだけでザガル伯爵を壁まで吹っ飛ばした。
「な!?」
バルスはあっさりと負けるザガル伯爵を見て驚いていた。
「剣聖クレアの名においてハッキリと言おう。その者、全くもって弱い。普段狩る魔獣の方がマシだ……今は……だな」
ザガル伯爵は倒れたまま、身体がピクピクと痙攣をしているかのように動き始めた。
さらにバルスも、急にその場に倒れた。
「フィリム姫、レイス殿! 今のうちに二人は逃げた方がいい。奴等が飲んだ薬はおそらく【グール化】の薬。人ではなくなる……」
「グール化の薬ですって!? それはやばいわよ! クレア! アンタも一旦引いた方が良いわ」
フィリムが酷く焦っているが、クレアは冷静だった。
「私はグール化程度なら大丈夫なので、どうぞお二人は先に」
だが……仮にも飲んだのは父。これ以上誰かに迷惑をかけるのも問題だ。
それに、綺麗な世界を作ろうと目指している俺が逃げるのもどうかと思う。
それにグール化の薬に関しては偶然にも過去に書庫で調べたことがあった。
「レイス殿! 何故逃げぬ!?」
「フィリムとクレアを置いて逃げ出したら、ヨハネスに顔向けできない。それに、何とかなると思う」
「フィリム姫! ここはレイス殿を引っ張ってでも……」
フィリムも逃げる気配は全くなかった。
バルスとザガルのグール化が完成した。
その姿は一回り身体が大きくなり、体の色も変色した鬼のような姿だった。
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