反撃と復讐
世界樹には誰も手出しが出来なくなった。仮に今後ギルドガブリエルが孤児院への出資を廃止しても、クレアには孤児院を守れるくらいの財力を得る力もある。
念のために孤児院にいた者も全員別の場所へ一時的に避難させた。
もうクレアを縛る弱みはない。もう一度ギルドへ向かった。
世界樹に手が出せなくなったことも知らないギルドは、また偉そうにしている。
「何度来ればわかるのでしょうか? フィリム様、それから金竜の勲章を持つ若造、冒険者クレアを盾に再びギルドに入るなど──」
「うるさい! 私は今後はフィリム姫とレイス殿と共にゆく! ギルドに入るぞ」
「冒険者クレア! そのような勝手なことなど──」
「私の力、今ここで発揮してもよいぞ?」
「う……」
強引に入ろうとするクレアに、警備員は何も言えずに黙った。
♢
「私はやはり、ギルドを引退し、王宮に仕えることにする。変更はない」
クレアの真っ直ぐな視線に、少し動揺しているギルド上層部職員。それもそのはずだ。
さっきのクレアとは志が違う。縛られた縄が解けたように堂々としているのだから。
ギルド職員の方も、冒険者に対しての口ぶりはもはや消えていた。先程の嘘くさい敬語が完全に消えている。
「貴様! 孤児院の者達はどうなってもいいのか!? 貴様の働きが、報酬が無ければ孤児院は潰れるぞ!」
女性職員なのに横暴な口ぶり、冷静さもなくなっているようだ。
「本性が出たな。つまり、私の働きならばギルドからの資金が無くとも孤児院を守れる、私に入る本来の報酬で孤児院を守っていけると言うわけだな」
「なんだと? 私達ギルド上層部に逆らえばどんなことになるか! 試してみるか? 孤児院など簡単に廃墟してみせよう。あのめんどくさい孤児院のガキどもも!」
横暴な発言をする上層部職員に、フィリムが嘲笑うように反撃に出た。
「へえ、そんなこと言ってる場合かしら? そこに孤児院に人が残っているか、確認してきたらどうかしら」
「貴様ら……まさか!?」
「当たり前ですね。クレアをこんなギルドからは解放できるように先手は打ちましたので。孤児院に誰も残っていませんのでご自由にしてください」
俺は世界樹が魔眼で安全になっていることだけは言わないでおいた。
出来れば穏便に済ませたい。
「なるほど……つまり、クレアだけでなくフィリム公爵令嬢、金竜の勲章持ちの人間も、ギルドガブリエルに逆らうと」
「もうここまで化けの皮が剥がれていれば遠慮なく言えますね。クレアを味方にした後、あなた方の悪事を全て暴いてやりますよ」
「ふん。だが、どのみち貴様らは、ここで死ぬのだ! さあリングベルド伯爵! バルス伯爵! そのお力を!」
リングベルド伯爵と今言ったのか!?
俺は今まで冷静だった思考に一瞬動揺が出てしまった。
何故この場所に?
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