報告と対策【ガブネス第二王子視点】
「間違いないんだネ!? レイス君一味が、剣聖のいるギルドガブリエルへ出入りをしたんだネ?」
「はい、間違いありません」
ガブネスとウイガル。
一旦王都の外まで連れ出した後、リングベルド伯爵とザガル伯爵とルーラをリングベルド家まで連れて行き、ガブネス王子直属の使いの者が連絡しにいくまで一歩も家から出ずに待機しろと命じた。
そしてガブネスは、表彰式には出れずに近隣の街の調査だと嘘をつきウイガルを隠しながら王宮の自室へ戻った。
今まで仲良くしているフリをして従えていたザガルは、既にガブネスの元にあらず。ガブネス王子から受け取ったとんでもなく危険な薬に手を出す寸前のところだ。
「ふん。無駄なことなんだネ。ギルド管理局の大臣はボクの息のかかったものだネ。調査などもみ消させるんだネ」
ガブネス第二王子は、古くから王家に貢献してきたギルドガブリエルを優遇していた。
ガブネス王子は古き伝統を大事にしてきた。例え悪でも理不尽でも。ギルドガブリエルがすでに腐った果実だとしても、古くからあるものを大切にするため目をつむっていた。
「それにさ、もうじきレイス君は、あの子の父であるリングベルド伯爵が直々に殺しに行くんだよネ?」
「口封じも同時に……という事ですね」
バルスとザガル伯爵に渡されていた魔導具は使えば戻れないグール化の薬だった。
ガブネス王子はウイガルに、バルスにはグール化の薬を渡し、ザガル伯爵には一定時間身体強化を促す薬を渡してあると嘘をついている。
ガブネス王子は、国王陛下に就任してしまえばいずれウイガルも始末するつもりでいた。
それまでの繋ぎ役としか考えていない。
当然バルスにも、「パワーアップさせるだけ、戦闘が終われば戻れる」と嘘をついてある。
「剣聖でもなければ、あの薬を飲んだ鬼は倒せないんだネ。それだけ強くなるんだネ」
「その剣聖も生まれ故郷の孤児院を押さえられていたのでは動けませんしな」
「あの地はやつらにとって特別なようだし、頑なに動かないしネ。移動でもされれば管理しきれないけど、アレがあっては動きようもないしネ。剣聖の手綱を握るためには適度に観察しておけばいい程度だよネ。簡単だネ!」
「ごもっともです」
ガブネスの言う『アレ』は、レイス達によって簡単に対策をとられてしまう事をガブネス達は知らなかった。
「ザガル伯爵様も、身体強化薬を使えばヨハネスなど敵ではないでしょう。元々ザガル伯爵様は武術の腕前が長けていましたから」
「そうなんだネ。それなのに……なんでダイン王子なんかに捕まっちゃうんだネ? 君もだよウイガル君……」
「誠に……返す言葉もございません」
ガブネスは、なぜウイガルやザガル伯爵がダイン王子に捕まってしまったか、油断しただけだと思い込み、ただただ呆れるだけで何も聞かなかったのだ。
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