解約と理不尽
再びギルドへ向かって途中で、フィリムにはセバスさんの過去の事は避けつつ、ギルドの事だけを上手く話した。
「つまり、クレアがギルドに戻るところか出てきたところを捕まえてスカウトするのがいいってわけね」
「うん、双剣と剣を常に持ち歩いてるらしいからすぐ分かるって言ってた」
「つまり……あの人がクレア?」
「は!?」
フィリムの目線の先を辿っていくと、ギルドに向かって歩いている姿が。綺麗な容姿、長い綺麗な銀髪からは戦っている姿は想像もつかないが、腰回りの両サイドに短剣のようなものを身につけ、更に背中には自分自身の身体よりも長い長剣。
間違いない!
俺達はクレアを足止めして、話を聞いてもらおうとした。
しかし、俺達の顔を見たクレアは、向こうからこちらに慌ててやってきた。
「フィリム姫! 其方は公爵令嬢フィリム姫であられるか!?」
「姫って……ちょっと! 照れるじゃないのっ!」
満更でもない喜びを滲み出しながら照れているフィリム。照れている場合ではない。
「剣聖クレアで間違いありませんね? 俺はレイス。こちらはフィリム公爵令嬢です。この度はヨハネス次期国王の頼みで、あなたにお話があり伺いました」
「すまん。其方は?」
「レイスです。王宮で近衛兵をしています」
俺は直ぐに名を名乗って金竜の勲章を見せた。すると、すぐに納得するように跪いてきた。
「大変ご無礼を! クレア=フォン=ヴェルヴェッド。以後、お見知り置きください。ところで……次期国王殿よりどのような話を? 実に興味深い!」
剣聖というだけの強い迫力も詰まった口調のクレアにフィリムは説明をした。
「次期国王陛下の側近兵として起用し、世界を変える手助けをしてほしいと言ってるわ」
フィリムは更に世界を変える事も詳しく話した。
クレアは大きな目を更に大きく開き、喜んでいるようだった。
「次期国王が直々に……? そんな光栄なことはない! ギルドも辞めようと思っていた所だったのだ。是非協力させてほしい!」
と言ったも束の間、少し暗黙の表情を浮かべる。
「しかし、私がギルドを去る事が出来るかどうか……すまぬが、一緒にギルドに来ていただけないだろうか?」
「いや、俺達ギルドに行ったら門前払いをされてしまって……」
「私が一緒であれば入ることくらいは出来るかもしれん」
一緒に行かなければ困る理由でもあるのだろうか。クレアと一緒にギルドへ向かった。
♢
門番にやはり俺達は止められた。
しかし、クレアが一時的に手伝ってもらったと偽りを言ってなんとかギルドの中に入る事ができた。
そして、クレアは王宮に今後王宮に仕えたいため、
ギルドを去ることを告げたのだが……。
「では違約金をお支払いいただきます」
もちろんギルドを解約する際にそんな規約はない。
「そうですね、王金貨を、この箱に詰められるだけ詰めてもらいましょう」
嫌らしいニヤけ顔をするギルド職員。
このギルド上層部は腐っていると本気で思えた。
「はぁっ?! こんなの国家予算十年分以上じゃない!! クレアをバカにしてるの!?」
フィリムが真っ先に抗議した。
「いえいえ、クレア様にはそれだけの価値がある、ということですよ」
「私がギルドを卒業し、王都に仕えたいと言っているのにか」
「当然です。貴女に決定権などありません。何度も言わせないでください」
「ぐっ……」
クレアが何も言えなくなった。
「す……すまぬ、一旦外で話をしたい……」
「何度も言いますが二度と馬鹿な発言をせず、我々の言う通り今まで通りに任務を行なっていれば孤児院は安全を保てるのです。わかりますね?」
嘲笑うような態度のギルド職員。
この横暴な態度に対して、クレアは何も言えないでいた。
言いたい事は沢山あるが、ギルドとクレアの間には何かあると思い、クレアの言う通りにギルドを出た。
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