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過去と英雄

 ♦︎


『冒険者セバス、クレアのコンビは世界でも五本の指に入る程、最高のパーティだった。クレアが前衛、セバスが後方支援として、その戦闘能力は、国家の騎士団の軍衛よりも勝る程強く、向かうところ敵無しのコンビだった。

 しかし、セバスが突如としてギルドを去る。

 残されたクレアは誰ともパーティを組むこともなく、一人で任務をこなしていた。やがてクレア唯一人の力でギルドガブリエルの陣営に大きな影響をもたらすのだった』

 記事にはこう記載されていた。


 ♦︎


「ギルドガブリエルに行き、クレアをスカウトして欲しいとヨハネスに頼まれました。しかしギルドの中に入れてもらえず門前払いされてしまいまして……ギルドのことを調べていたらこの記事を見つけまして」

「左様ですか。クレアは、はぐれエルフの血を受け継いでいますから今でもご活躍なさっていますね。ですが、きっと仲間になってくれると思いますよ。問題はギルドですね。私はギルドを不信に思って辞めました故……」


 セバスさんが珍しく頭を抱えて悩んでいる。


「レイス様、ギルドの情報はご存知でしょうか?」

「いえ、まだ何も。ですが、公爵令嬢のフィリムを容赦なく門前払いする程の態度には、何か強い権力に守られているのではないかと」


 常識のあるフィリムがそんな事はしないと思うが、仮に公爵令嬢の力でギルドの対応に不満を抱いて国に報告すれば、先程の二人もただではすまないだろう。

 それでもあれ程の威厳を保てるというのならば……。


「さすがレイス様ですね。ギルドは、表向きな情報ですと、ディラスト王国に存在する各私立ギルドは、貴族や商人からの個人的な依頼や、突如として現れる魔獣や危険生物の駆除を国からの依頼する機関です」


 少し長くなるからと、応接室に移動しながら話を続けた。


「ですが、各私立ギルドが競い合うようになり、報酬分配も変わってきました。私立ギルドを取りまとめる機関は国でありますが、いつからか、ギルドガブリエルも含め、大手ギルドは国や大商人よりも発言権が強くなりました」


 つまりギルドガブリエルは大手になったのをいい事に天狗になっているということか。それが今も続いていると……。


「私は制度や報酬について、何度も上層部に抗議をしましたが、全く聞き入れてもらえず、納得が出来ず辞めた次第であります。クレアは訳があってギルドに残りましたが……」


 クレアが何故ギルドに残ったかはセバスさんの口からは話すことはなかった。


「私はお陰でこうしてお嬢様やレイス様と御縁がありまして、余生をここで過ごせて幸せでいますが、残してしまったクレアには彼女が決めたこととはいえ、今でも申し訳なく思っております」


 本に書かれていたこととセバスさんの話を整理すると、どうやらギルドガブリエルは過去のセバスさんとクレアによって、そして今もなお剣聖クレアの活躍で超大手ギルドになったのだろう。だが、フィリムを門前払いすることも踏まえて恐らく上層部が腐ってる。

 ヨハネスはこのことも知っていたから俺たちにも知ってもらおうと任せたというわけか。


 まずは剣聖クレアと上手いこと接触する必要があるな。ギルドはそれからだ。

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