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ギルドとセバス

 何度か新聞で読んだ事がある。


 剣聖クレア。


 2本の短剣と1本の長剣を操り、ディラスト国に現れる魔獣や魔物をたった一人で討伐する史上最強剣士。


 その功績はあまりにも高く、【ギルドガブリエル】では、彼女の力で世界最高水準のギルドにまで到達しつつある。


 新聞でそんなふうに書いてあった記憶がある。


 剣聖クレアを味方にするというなら護衛が有力。


 ヨハネスに護衛はいらないと言っていたのに、護衛を付けるのだろうか。俺は聞いてみることにした。

「剣聖クレアをスカウトして、ヨハネスの護衛にするってことか?」

「いや、違う。自分の身は自分で守れるし護衛は俺には必要はない」


 やはり護衛ではない。ならば何故?


「じゃあ、アンタはなんで彼女をスカウトしたいのよ?」

「うむ。それは、彼女に会いに行けば分かる。少々大変かもしれんが、レイスとフィリムには、ギルドガブリエルに行ってクレアをスカウトしてきて欲しいのだ」


 クレアに会いにギルドガブリエルに行って来て欲しいとお願いされ、ヨハネスはその後は何も話さなかった。


 ♢


「ちょっと!! なんで私たちは中に入れさせてくれないのよ!?」


 ギルドガブリエル。俺達は入口の大きな扉の前で門番の者に、中に入るなと言われてしまったのだ。


「何を今更……フィリム公爵令嬢。ギルドガブリエルの最新の規約をご存知ありませんでしたか?」

「う……それは」


 公爵令嬢のフィリム相手に横暴な態度で嘲笑うように喋る門番。


「魔眼覚醒している者は公正なギルドメンバーの力関係を阻害する力。よって魔眼覚醒している者はギルドには入れませんので悪しからず」


 何という魔眼差別なギルド規約なんだ。まさかこんな所でも魔眼の偏見があるとは。しかし下がるわけにはいかない。


「俺──」

「ダメですね」

 まだ何も言っていないのに即答か。


「これでもダメです?」

 俺は国王陛下から授かった金竜の勲章を見せた。ギルド依頼も出来るこの勲章なら……。


「チッ……此処で待ってろ、上の者を呼んでくる」

 勲章を見るなり舌打ちをして苛立ちながら怒鳴り、渋々建物の中へ姿を消した。


「公爵令嬢相手に横暴な態度だね」

「ギルド連盟ならば私の顔も魔眼の事も筒抜けだし。まぁここまで門前払いしてくるとは思わなかったけど」


 しばらくして、さっきの門番が女性を連れて出てきた。


「金竜勲章の方。レイスでお間違いないですね?」

「何故わかったんです?」

「最近、魔眼持ちが金竜勲章を授かったという噂がありましてね。あなたも当然ギルドに入れるわけにはいきません、規約ですからね」


 この女性もめんどくさそうに、帰れ帰れと顔が言っている。とても上の者とは思えない。


「ちょっと! 私達は次期国王命令で来てい──」

「次期国王? 笑わせないでください。魔眼持ちの王など、王ではありませんよ。お引取りを」


 俺達は横柄な態度で追い返された。


 ♢


 剣聖クレアに会うどころか、ギルドの中にすら入る事が出来なかった。

「もー! なんなのよ!!」

「落ち着いてフィリム。一旦帰ってクレアに会うための作戦を考えよう。

 フィリムは理不尽に追い返されて御立腹だ。

 俺は宥めながらフィリムの家まで帰った。


 ♢


 公爵家の敷地内にはフィリムの家のほかに、数々の書物や本がズラッと保管されている書庫専用の家まであり、俺は本を読むのは好きなので、何度か書庫の家も出入りさせてもらっている。


「この人ってまさか!?」


 ここでギルド関連の本を見つけて調べていたのだが、確認のため、本を持ち出してフィリムの家へ走った。


「セバスさん! 書庫でこんな本を見つけまして……」


 セバスさんに本に書かれていた記事を見せた。すると、セバスさんは苦笑いをしながら教えてくれた。


「お恥ずかしい過去を見られてしまいましたね……これは私ですね。公爵家に仕える前はギルドの冒険者でしたから。お嬢様もこのことは存じていませんのでどうか内密にお願い致します」


 記事のタイトルにはこう書かれていた。


『剣聖クレアと冒険者セバスの史上最強パーティ伝説』

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