脱走と好都合
バルス達が脱獄したことによって、王宮中が大騒ぎになった。
伯爵二人を含む脱獄、もちろん裏で何者かが動いたことは間違いない。
ダインとヨハネスに至っては、ほとんど犯人を特定してはいた。
だがダインは今回の件にこれ以上首を突っ込むことはなく、ヨハネスもまた、相手の根回しもあって決定的な証拠を突きつけることができずにいた。
結局これ以上の追及が難しくなったことで、事件については一旦闇の中、ということになる。
ヨハネス陣営にとっては勝利目前で引き分けに持ち込まれたようなものだった。
だがこの件で、レイスの状況は大きく進展を迎える。
最終的な判断と、牢の管理、国王にとってこの件はヨハネスに対して負い目を感じるのに十分な事件だった。
その影響からか、ヨハネス陣営に加わろうとするレイスを厚遇することでバランスを取ろうとしたのだ、
♢
「もう! なんでこうなっちゃうのよ!! あとちょっとだったのに!!」
フィリムは、ガブネス第二王子が黒幕という事も分かっていながら、捕らえきれなかったことに悔しがっていた。
「どうやって脱走したのかは知らぬが、私はむしろ良かったと思っている。部下や大臣達には言えんがな」
ヨハネスは今回の脱走に関しては笑っている。俺達相手にだからこういうありのままの姿を見せてくれているのかと思うと、俺まで嬉しくて笑い始めてしまった。
「なんでレイスまで笑っていられるのよ!」
「脱走でしょ。どうせ諦めきれずに俺達をいつか狙ってくるよ。特にルーラは、俺への憎しみが強いから、諦めるわけがないし、その時に捕まえればいいと思う」
脱走したのなら、きっとすぐに復讐しにくるはずだ。俺はそう確信していた。
「でも、このままじゃレイスはヨハネスと世界を変えていく事だって……」
「それは俺が保証しよう! レイス! 後日表彰式にて、父上……いや、オルダニネス国王陛下よりレイスに勲章を授ける事が決まった」
「え!?」
俺が国王陛下から? どう言うことかわからなかった。
「王子である俺に対する暗殺を未遂に防ぎ、救い、犯人も突き止め、更に捕まえたという功績を父上は大きく評価している」
「でも、アンタのお父様も魔眼を嫌って……それなのに味方になってくれるの?」
「いや、違う。確かに昔は古き風習を守り、魔眼も嫌い俺も嫌われていた。だが、俺が国務を手伝うようになり、父上は変わった。だが、それまで国中に魔眼の偏見を訴えたりしていたからな。急に意見を変えてしまっては立場としても信頼を失うと思っているのだろう。そこで魔眼を持つ俺が次期国王陛下に選ばれたのだ」
ヨハネスは既に綺麗な世界にする第一歩を完成させていたという事か。ヨハネスは国王陛下の考え方を変えた!
「だが国王という立場。どちらも味方はしていない。それでもレイスの功績とリングベルド家の罪を考慮しても本来ならば当然の結果だろう」
彼らが脱走したことによって俺の立場が大きく変わり、勲章まで授かることを脱走させた者も脱走した四人も知るはずがなかった。
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