報告と作戦
「お嬢様、レイス様お帰りなさいませ。早速で申し訳ありませんが、ご報告がございます」
デートのような1日が終わり、フィリムの家の扉先で出迎えてくれたのはセバスさん。
「ただいまセバス。セバスがここで迎えてくれるってことは、何かわかったのね」
「仰る通りでございます」
直ぐにいつもの大きな食事部屋移動して、会議をすることになった。
♢
「レイスさんの睨んだ通り、リングベルド家の三人と、ガブネス第二王子が接触しました」
「義母とミルトも来ているのか……」
俺は父だけが王都に来るんじゃないかと思っていたが、まさか家族揃ってとは思わなかったな。同じことだからいいんだけど。
「ガブネス王子がザガル伯爵と組んでいることも判明しました。残念ながら、ウイガルという名は出てきませんでしたが」
セバスさんは一度頭を下げてから、話を続けた。
「ガブネス王子がバルス伯爵を脅していました。レイス様のご家族が命を狙ってくるでしょう……」
俺は少しだけ顔が強張った。
監禁されていたとはいえ、同じ屋根の下で住んでた人間が殺しにかかってくるとは……しかもフィリムやヨハネス様にまで手をかけようとしている。
こうなるとは分かってはいたけど……。
「レイス? 大丈夫?」
自分が暗殺される事を知っている上でも俺に心配して気を遣ってくれるフィリムの優しさが、強張ってた顔も元に戻り、覚悟を決めるきっかけになった。
「ありがとうフィリム。大丈夫! 俺はともかく、フィリムやヨハネス様を殺そうとしているのが俺の家族って考えたら、前から予想はしてたけど、それでも許せなくて」
「ふふ……自分の心配しなさいよ」
「家族相手なら俺の魔眼でなんとかなると思う」
「そうね」
命を狙われているのにも関わらず、二人で笑い合っていた。
「この盗聴の魔道具は旧式の物で、一度だけになってしまいますが、こちらで受信した音声をそのまま再生する事も可能です。聞かれますか?」
「いえ、今はいいわ。すぐにこれを証拠として突き出すわ」
急ごうとするフィリムを俺は止めた。
「しばらく放置してても良いんじゃないかな?」
「え!? なんでよ!」
「敵はハッキリ分かったんだし、会話だけよりも、現行犯で捕まえた方がより確実かと思ったんだけど。それに……」
「それに?」
俺は半分苦笑いしながらフィリムに聞いた。
「ヨハネス様がそう簡単に殺されると思う?」
「思わないわね」
フィリムも即答だった。それだけヨハネス様の事を信頼している証なのだろう。
「ヨハネス様にこの状況を伝えて、警戒してもらうくらいにして、暫く泳がせよう」
「そうね、すぐにヨハネスと会えるようにするから」
「ありがとう、フィリム」
話がまとまったのも、全てセバスさんのおかげである。
「セバスさん。ありがとうございます! おかげで事件解決の進展になりました」
「何を仰いますかレイスさん……レイスさんが的確に怪しいものの目星を判断したのです。私など、ただ盗聴器を仕掛けに行って会話を聞いていただけに過ぎません」
セバスさんが一番活躍してくれたと思うのに……。
俺はセバスさんにはこの先も頭が上がらない気がする。
「セバス、一応、この家の警戒も宜しくね」
「お任せください」
犯人が明確になり、黒幕も誰かわかった。
ひとまず俺達は美味しい夕飯をいただいてヨハネス様に会うための準備を始めた。
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