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~プロローグ~ 100円の日常

「ミノル、大丈夫!?」


世界転移をする際にいつも感じる軽い目眩とともに、モエカの叫び声が頭の中で響き渡った。


「ああ・・・

 大丈夫だ」

「買い物に行ってきたの?」

「ああ。

 スライムに効きそうなものが

 何かないかと思ってね」


いつでも100円ショップで買い物できるようにしてもらうことが、俺がこの世界からの召喚に応じる条件だった。

だってそうだろう?

100円ショップの無い世界なんて、あまりにも不便過ぎる。


「なんでもいいから、

 この気持ち悪いやつら、

 なんとかしてよ!」


モエカは長剣を振り回し、スライムの強酸ブレスを必死で避けながら叫んだ。

はがねの鎧はびくともしないが、布製のインナースーツはボロボロと崩れかけている。


俺はビニール袋から透明な「ポンチョ(100円)」を取り出して頭から被ると、ぎりぎりまでスライムに接近し、洗浄用の「アルカリ電解水(100円)」をぶちまけた。


シュウゥッ!


激しく気泡が弾けるような破裂音とともに、もうもうと湯気が立ち込め始める。

慌ててバックステップし、敵から距離を置く。


100円ショップの製品とはいえ、このアルカリ電解水のPHペーハーは12以上。

強酸の体液をもつ奴には耐えられまい。

スライムの体は原型を留めないほどに崩れていった。


「うぇえ~、

 変な臭い。

 気持ち悪ぅ・・」


モエカは顔を歪めると鼻をつまんで後ずさりする。

相変わらず顔に出やすい奴だ。


「助かっただろ。

 文句言うなよ」

「できれば

 スパッツが溶ける前に

 帰ってきてほしかったけどね!

 ・・・どうせまた

 余計な買い物してたんじゃないの?」

「しゃあねぇだろ、

 レジが混んでたんだから」


俺はポンチョを脱ぐと、ぐしゃぐしゃに畳んでビニール袋に突っ込んだ。

ついでに買ってきたチョコバーがモエカに見つからないように。


***** つづく *****

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