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第3話

「く、くそ!止まれ、止まってくれ!」


止血を試みても、次から次へと血が溢れ出してく


る。


「なぁ、フェイここにいるかい?空の色はどんな


感じだい?教えてくれないか?雨は止んだようだ


から、晴れているのかなぁ?」


「兄...さん?」


フェイから涙がこぼれる。変わらずにフェイは、


レイに寄り添っている。また、今、雨は止んでな


んかない。そう。既にレイは、視力を失い、雨に


打たれていることもわからず手を握られているこ


とすらわからなくなっていた。もう、助からない


と本能的にフェイの心が告げていた。


「ここに僕はいるよ。それとまだ雨は止んでない


んだ、兄さん…」


「そうか…」


何かを決意したかのように、朦朧とした意識の


中、レイは言葉を紡ぐ。ただひたすらに。


「フェイ。これを受け取ってくれない...か?兄ち


ゃんの宝物なんだ。」


そう言い、右手に固く握られていた、薄く黒く光


る黒剣をフェイに手渡す。


「それ…は、この村を破壊した《ゴースト》と呼


ばれる奴らと戦うために必要なもの…なんだ。ど


うか、叶えられなかった兄ちゃんの夢物語…をフ


ェイの手…で叶えてほし…い。助けを求める人た


ちを…苦しんでいる人たちを…どうか、救いあげ


て欲し…い。」


言葉が途中から途切れ途切れになり、意識が完全


に無くなりかけている。そんな兄の最後の自分に


対しての「願い」をどうして断れようか。


「こんな兄ちゃん…の望みを聞いてくれるのな


ら、…ここから北…東に進んで…《レイズ》とい


う区…でクロバさんという人…を尋ね…て…」


レイが瞳を閉じる。フェイは泣き叫ぶ。


「兄さん!嫌だよ、僕一人は、嫌だよぉ」


兄さんの手が僕の頭を撫でる。口元にうっすらと


優しい笑みを浮かべながら。


「だ..いじょう…ぶ、フェイ….なら。自分…を信


じ…て決し…てどんな時…も諦めずに……な、


フェイ…な…ら…でき…る………」


「……」


フェイはいつも持ち歩いていハンドタオルで、安


らかに眠った兄の顔についた血を拭う。タオルが


赤色に侵食されていく。いつの間にか、雨は上が


り、晴れ間がのぞいていた。


手に握りしめていたタオルを自身の左腕で結び、


立ち上がる。さっきまで流していた涙が嘘見たい


にその瞳は輝いていた。


「兄さん、僕強くなるよ。仇を取るために。兄さ


んの願いにこたえるために」


確かな意思と黒剣と共に少年は歩きだす。


暗雲の渦巻く世界へと…。




















一応、序章ということなので1〜3話までは文が短くなっています。1章からは、さらに文字数を増やしていくつもりです。

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