第2話
いつからか、雷を伴った大雨となっていた。激し
く雨が大地を打つ中、僕はひた走る。兄と一刻も
早くに剣を交えたいから。という表向きな理由と
異様な胸騒ぎを感じていたという裏の理由もあっ
た。だが、この時、胸騒ぎの理由がフェイに分か
るはずがなく、気のせいだと楽観視していた。
村へと着いたのは、一迅の閃光が空をかけた時と
同時であった。全てが変わり果てていた。村の
家々からは、赤き豪炎が燃え盛り、等しく崩壊し
ていた。兄さんと剣技を磨いた広場には、見るも
無残に殺された村の人たちが横たわっていた。ど
こか呆然としながら、フェイは村だった場所へと
足を踏み入れる。どこを見渡しても、パチパチ燃
え続ける炎と雷に打たれたかのような焦げた村人
の死骸で埋め尽くされていた。歩を進めているう
ちに遂にフェイは自身の住まいへとたどり着く。
住まいの周りには数多くの亀裂が刻まれていた
が、辛うじてまだ住まいは原型を留めていた。
そして、フェイは左腕を失い、体中を切り刻ま
れた兄、レイの姿を見つける。
「兄さん!」
目尻に浮かぶものを堪え、兄の元へと駆け寄る。
「ごめん..なフェイ。兄ちゃん...守れなかった」
開口一番にそんなことをのたまう兄からは、当然
のように血が溢れ出していた。
「兄さん!血が。止めなきゃ!」
血が溢れ出すのを防ぐためになんとか止血しよう
と試みる。