第1話
その日は、朝から雨が降り続いていた。そう、い
つもと変わらないなんて事のない雨。いつものよ
うに僕は隣の村へと走り向かっていた。早く戻っ
て兄さんとまた剣技を学びたいの一心で。無事に
たどり着き、僕のおばさんと交流がある、お宅へ
と伺う。
「すみませ〜ん。フェイで〜す」
「いらっしゃい。いつもありがとね、フェイ
君。」
声を投げかけると、いつも僕に良くしてくれる優
しいおばさんが笑顔で返してくれる。
「遠い所から、ごめんねフェイ君」
「いつものことだし、大丈夫だよ。それに片道に
かかる時間もそれほどないしね。」
順調に歩みを進めると、かかる時間は大抵いつも
1時間程度だ。大して苦じゃない。
「僕もう行きますね、おばさん」
「もう行っちゃうのかい?ゆっくりしていけばい
いのに。何かあるのかい?」
「うん、この後は兄さんに剣技を教わるんだ、今
日こそは、兄さんを倒すんだ。」
メラメラと、闘争心を燃やすフェイにおばさん
は、ふふと微笑み、
「それじゃあ、早く行かないとね。頑張ってね」
「うん、またね〜」
勢いよく飛び出していったフェイをやはりメイお
ばさんは微笑んでいて。このやり取りが2人の最
後のものになるなんて2人は思うよしもなかっ
た。