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証言者
新人賞に投稿し、落選した作品です。
感想をお待ちしております。
キマイラに捧ぐ
まず前提として、これからわたしが話すのは、〈西江賀慶作〉というひとりの少年の物語であることを、ご理解ください。
わたしはただの語り部です。詳細を知る唯一の証言者です。
……話を聞きたいとおっしゃったのはあなた方で、わたしから語れるのは〈彼〉の物語だけです。
…………結構。続けさせていただきます。
彼……慶作くんの出生から少し遡って、彼の両親の出会いと結婚、そして離婚から話を始めてもよいのでしょうが、聞くにも語るにも冗長なので省きます。
彼の人生最良の時間が始まる日から物語りましょう。