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赤い鬼の子。  作者: ホタル。
第三章 百鬼夜行
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40.  ヴァルゴ


 「まだ、俺は、やれるぞ、茨木童子」


 「いいや。君はもう無理だよ。わかっているだろ? 自分自身の体なんだから」



 地面にひれ伏す一ノ瀬暮夜とそれを見下す茨木童子。

 そこに、



 「失礼します。ただいま、◯◯が忌助の所に行きました」


 「そうかそうか。報告ありがとう、栖実(すみ)。さて、帰って来ないでいいよ、◯◯くん」



 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




「さて、最後にもう一度だけ聞くよ。自分と一緒に来てほしいんだ? 答えは『はい』か『わかった』かの二択」


「いや、どっちも了承の意味じゃん」



 折角選択しを用意してあげたのに、選ぶ気がないのかな?



「もういいや。星の力双子座(ジェミニ) 氷縛(ひょうばく)の鎖」



 刃の一つを砕いて棘のついた鎖で壱千手を拘束する。

 棘で肌が傷つき血が垂れる。

 その血を鎖が吸収し強度が増していく。



「さて、問答無用でついてきてね」



 壱千手の首根っこを掴みながつきたちの所に急いで戻る。


 戻る途中、「ワーワー」叫んでいる煩いのを無視して急いで戻る。

 流石に時間をかけすぎたから、なんか起きてしまってるかもしれない。

 そんな気持ちから、走る速さが少しずつ、少しずつ上がっていく。



 ※



 一時間もしないうちに、ながつきたちの気配を見つけた。

 が、それだけなら何も問題はなかった。

 ながつきたちの周りに、鬼とも人とも違う気配が数十確認できる。



「こい、夜叉丸。双子座(ジェミニ) 極星の軌跡」



 一応すぐに加勢できるように、星の力を準備しておく。


 少しして、二十人くらいの黒服の男たちと、それと戦うながつきたちが見えた。



「全滅させるのはアレだな。星の力双子座(ジェミニ) カストルの矢」



 何本かの霊力の矢が黒服の男たちの命を奪っていく。



「忌助、戻ってきたか」


「お疲れ、忌助くん」


「それは、私が欲しいって言ったヤツっス」



「ただいま。いい鬼を捕まえてきたよ」



 黒服の男たちは今、いくつかの刃に囲まれて動けない状態でいる。

 動けば死ぬだけだから、気にする必要はない。



「ながつき、この鬼を朱音に」


「わかった。〔鬼呪札〕 鬼鬼化」



 特殊な呪札を壱千手の額に貼り付ける。

 そして、違う種類のを朱音に貼り準備が、


ジュバンッ。


 そう音をたてて、壱千手の上半身はなくなっていた。



「誰だ。出てこい」



 鬼の気配がある方を向き、そこに声をかける。



「夜叉丸さま、お久しぶりです。他の皆さまは初めまして」



 出てきた子は小さな女の子?

 いや、違うな。

 女の子にしては霊力が強すぎるから、コイツは何かしらの鬼だろう。



畄萎(るい)。それがヤツの名前だ。畄萎は何を考えているかわかんないヤツだから気をつけて。それと前に会った時は鬼能をもっていなかった。だからどんな鬼能かわかんない』


 ありがと、それだけでもいい情報だよ。



「何が目的だ、畄萎。朱音の鬼を殺して」


「わぁ、名前を教えてもらったのかな? 夜叉丸さまに」


「質問答えろ。何が目的だ?」


「そんな事もわかんないんですか? そんくらいわかりましょうよ。畄萎はただ、仲間に入れてほしいって思ってるだけですよ?」



 畄萎が言っている事は事実なのか?

 もし嘘なら裏切られる可能性がある。

 そればっかりは防がないといけないから、仲間になるかどうかを見極める必要がある。



「それで、答えは? 仲間に入れてくれる? くれない?」


「イヤだ。って答えたら?」


「そっかぁ、イヤなのか。じゃあ残念だけど....死んでね」



 畄萎が少し地面を蹴っただけで、砂が弾丸より速く襲いかかる。



「[黒硬化]」


「憑依 玄武」



 自分と朱音で防御にあたる。

 砂を防ぐ事はできたが、それ以外が防げなかった。

 風である。

 物凄い突風に立っている事さえできずに吹き飛ばされてしまう。



 どうすれば仕留められる?


『新しい鬼能を使う?』


 新しい鬼能って?

 奪えるようなヤツを倒した覚えはないけど。


『倒したじゃん、猿琥を』


 あっ、あー。

 アレも一応倒したね。


『だから猿琥の鬼能、[影遊び]を使って倒せるかもしれない』



「影移動」



 自分は影の中に沈みこんでいき、ドプンッと音をたてて影の中を泳いでいく。



「へぇ、それは七鬼王の猿琥の異能だね」



 余裕そうな畄萎の後ろに飛びだし、



「星の力双子座(ジェミニ) カストルの断罪」



 無数の刃から霊力の矢が畄萎目掛けて飛んでいくが、



「残念、畄萎には効かないね」



 そこにいたのは、確かに霊力の矢に当たった無傷の畄萎だった。



「なぜ、効かない?」


「なぜ、ねぇ。なぜ効かないか。それは畄萎の力だよ」


「だってこっちは上位の星の力のはず」


「でもそれがもし、相手も上位の星の力なら?」


「相手も、上位の、星の力?」


「そう。段々と理解してきたでしょ? 畄萎の力」



 そう言って畄萎は杖を、五角形の頂点を線で結んだ形の何か(星☆)のついた杖を持っている。



乙女座(ヴァルゴ) 霊術少女」



 キャピンッと音がでそうな構えをとった畄萎。

 なんだろう、少し可愛いからイラってくる。



「そういう事だったか」


「そういう事。そして畄萎は茨木童子の手下である。忌助というヤツに取り入って情報を伝えるのが任務だ‼」



 えっと、自信満々に言ってるけど、口を滑らせたって事だよな?

 もしかして、相当の馬鹿なのか?



「へぇ、茨木童子さんに。それで他には何を言ってたのかな?」



 吹き飛ばされてたながつきが復活し、優しい感じで声をかけるけど答える訳ないじゃん。



「茨木童子はそのまま帰ってくるなって言ってたぞ」



 いや、答えるのか。

 しかも、茨木童子から邪魔だからいらないって言われたようなもんじゃん。



「それっていらないって意味じゃないっスか?」



 おいおい、それはツッコミしたらダメだろ。



「あーん? なんだと? 黙ってろ」



 畄萎は可愛い顔で朱音を睨み、シッシッと手を振るうだけで強風が起きて朱音だけを吹っ飛ばす。



「影縛り」



 よく考えなくても畄萎は今隙だらけだ。

 だから、自分より相手が小さい時に大きな効果をだす拘束技を発動する。



「動けない、だと」


「本当に拘束出来ちゃった?」


「離せ、離せ。そして話そう。離せばわかる」


「いや、ややこしいよ」



 さて、ここで畄萎を殺すのも一つの手だが、自分の考えだと畄萎はそう簡単には死なない。



「星の力双子座(ジェミニ) 百鬼操炎」



 無数の刃が青い炎を纏い畄萎を四方八方から攻撃するが、傷一つつかない。



「やっぱり殺せないか。畄萎、お願いがあるんだ」


「なんだ、一応聞いてやろう」


「その前に、鈴」



 鈴を呼び、とある物を用意してもらう。



「少し待ってくれ」


「私は待つのは苦手だ」



 ........。



「お待たせ」



 案外早かったな。

 鈴からとある物を貰い交渉にはいる。



「畄萎、お願いというのはな、茨木童子の所に帰ってほしいんだ」


「ふんッ。誰がそんなお願いを聞くか」



 流石に聞いてくれない事はわかっていた。

 だが、



「そっかぁ、そうかぁ。残念、残念。折角お願いを聞いてくれるって言うならべっこう飴をあげようと思ったんだけどな?」



 チラッと畄萎を見ると、物凄いキラキラした目でこちらを見ているが、心の中では葛藤しているのだろう、「んー、んー」唸っている。

 もうひと押しだな。



「さらに今ならこの氷の花飾りをあげよう」



 無数にある刃の一つから造った永久氷結(えいきゅうひょうけつ)の赤い氷の花。

 これを持って帰ってくれれば、少しは茨木童子の情報が集まるだろう。



「よ、よし。しょうがないから茨木童子の所に戻ってやろう。そ、そのべっこう飴と花飾りはくれるんだろうな?」


「もちろんだよ」



 影の拘束を解いて、べっこう飴を渡し、花飾りを頭に付けてあげる。

 そして機嫌よく、



「また会おうなのだー」



 と手を振りながら行ってしまった。


 これで一見落着、かな?




「なんでっスかー」



 急に朱音が大きな声で叫んだ。


 そうだ、そうだった。

 さっき畄萎に壱千手を殺されたんだった。



「ごめん、朱音。でもどうするか」



 悩ましい。

 壱千手以上に朱音にあう鬼がいるだろうか?



「おい、これ」



 ながつきが黒服の男たちを漁っていて、何かを見つけたみたいだ。



「これは、注射器?」


「そうだな、鈴。だけどこの中に入っている物」


「おい、ながつき。これって」


「多分そうだろうな」



 まさかこんな物が完成していたなんて。


双子座の無数の刃は忌助が奪った鬼の命の数ある。

年頃の女の子の魔法少女w

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