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赤い鬼の子。  作者: ホタル。
第二章 学校
34/56

32.  セイセキ


 「いい感じに鬼に憑かれています」


 「そうか、後少しでいいんだな」


 「はい、少しは抵抗しているみたいですが概ね問題ありません」


 「期待しているよ、架瑠羅(かるら)くん」



 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



 第二試練、第一三班の悪霊は黒子と呼ばれる悪霊が十体。


 黒子は人に化けて人間関係をぶち壊すという何とも面倒な悪霊である。

 そんな黒子が敵の第一三班は今、佳境を迎えていた。


 ある生徒は服を肌蹴(はだけ)させて、同じ班員に化けた黒子2体に襲われている。


 ある生徒は班員に化けた黒子二体の誘惑に耐えながら戦っている。


 ある生徒は班員に化けた黒子二体に弄ばれ、(なぶ)られていいように遊ばれている。


 ある生徒はそんぬ班員たちの姿を見て気を失っている。


 最後の生徒は服を破かれ、肌を晒し、(はりつけ)にされている。


 そんな生徒たちの姿をマジマジ、特に男子生徒はマジマジと体を前のめりにして見ている。

 えっ、自分はどうかって?

 後ろから怖い視線を感じるので目をそらしています。



「そこまで、第一三班負け。回収を急げ」



 負けた生徒たちは先生たちに回収されていく。

 次は自分たちの番だが、どんな悪霊になるだろう。



「次、第二試練、第一四班開始」



 その言葉で自分たちは転移させられた。

 会場はさっきと同じ森の中で、手には紙が握られていた。



 ================


 悪霊 (ぬえ)


 ================



 そう書かれていた。



「ながつき、鵺って知ってるか?」


「なんで俺、知らないんだよな」


「わ、私知ってるよ」


「流石、鈴」


「鵺って言うのはね、頭は(さる)胴体(どうたい)(たぬき)、尻尾は(へび)で、手足は(とら)の姿をした悪霊だよ」


「何ともまぁ、詰め合わせって感じっスね」



 鈴の説明で何となくはわかった。

 朱音の言う通り、詰め合わせ感が凄いって思ってしまう。


ひゅー、ひゅー、ひゅー、ひゅー。


 そんな鳴き声? と辺りには黒い煙が立ち込める。



「鵺のお出ましって事だね。陣形は....」


二之舞(にのまい)の陣で。朱音が先頭で左後ろを俺が、右後ろに忌助でその後ろに鈴が」



 皆が頷く。

 流石ながつきだけど、どういう陣形なんだ?



「これで俺と朱音でお互いを守りあう。そっちは鈴と忌助で守りあう。鈴は回復役だから一番の戦力とくっつけるに限る」


「なるほど」



 特に変な意味、ながつきの気遣いひないということだ。



「あまり忌助にばっかいい思いはさせないからな。〔呪術〕()えぇ」



 そういうとながつきの体に呪詛(じゅそ)が這っていき、全体を覆う。



「なら、私もっス‼ 白虎(びゃっこ) 憑依」



 朱音は身体強化霊術を使う。

 今までの霊力の流れが変わり霊力の爪があるから、攻撃型ということか。



「私はこれくらいしかできないけど、回復霊術改 聖域」



 地面が光輝き、この場所では回復できるということだろう。 



「一一時の方向っス」


「呪札 突風 疾風 圧風」



 ながつきは三つの呪札を使い、黒い煙を晴らしていく。

 否、晴らすのではなく、一ヵ所に集めている。



「先手必勝‼」



 バンッ、と音と土煙をたてながら朱音は鵺に肉薄すると、そのまま一発殴ろうとするが、尻尾の蛇が動き朱音に牙を向ける。



「鵺っ‼」



 殺気を込めて呼び掛ける。

 それに驚いて動きを止めた隙にドゴンッ。

 鵺の頭は地面に埋まり動かなくなった。



「流石にこれで終わりはないよな」


「うん、だろうね。呪札 呪詛拘束」



 鵺の体に呪詛が這っていき、体を拘束した。



「どうする?」



 ながつきが聞いていたがなぜ?



「普通に討伐していいんじゃないか?」


「でも、良く見たら可愛いよ」


「可愛いか?」


「うん、か、わ、い、い」


「はい、可愛いです」



 鈴に言いくるめられてしまった自分が少し情けない。

 でもなんで鈴は顔を赤くして下を向いてるんだ?

 それにながつきと朱音はニマニマ笑っているし。



「じゃあ鈴と忌助が遊び始めたから討伐しちゃうぞ」


「ちょっ、ながつきくん」「いや、遊んでないから」



 ながつきは、二人の言葉を面白そうに聞いてから鵺を討伐した。

 結局今回は自分だけ全然活躍出来なかった。



「第二試練、第一四班、勝ち」



 その声でまた転移させられる。

 第二試練が終わるまであと一週間ちかくある。



「第一四班こっちに」



 先生に呼ばれて皆で向かう。



「まずはこれを皆に、第一試練の点数と第二試練の点数と合計だ」



 渡された紙には、



 ================


 第一試練


点数 500/500


 第二試練


点数 215/500



 合計


点数 715/1000


 ================



 と書かれていた。

 第一試練は満点で第二試練は少ない。

 やっぱり活躍しなかったからなんだろう。



「それでは次、第三試練の説明をする。第二試練の終わった人しか知らないから口外禁止だ」



 それは理不尽な。

 第二試練が最後の方だと第三試練の内容を知るのが遅くなるじゃん。



「なんで不公平なんだって顔だね。この第二試練は抽選で順番が決まったんだ。だから運も実力の内って事だよ」



 なるほど、運も実力の内か。



「じゃあ第三試練の説明を始める。

 第三試練は 班 対 班 で戦うことになる。

 勝利条件は相手の班の霊結晶(れいけっしょう)、霊力で作られた結晶を破壊すること。霊結晶はそれなりの強度があり大きさは人、一人分。

 ただ、負けても退学にはならないからね。動きや霊術、色々な観点から問題なければ退学を間逃れる事ができる。

 なにか質問はあるかな?」


「大丈夫です」



 皆特に質問が無さそうだったので代表して答える。



「よし、それじゃあ帰っていいぞ」



 先生から解放された。



「忌助、点数どうだった?」


「合計が715だった」


「クソ、惜しいなぁ。あと10点か」


「てことは、705点なのか?」


「そう、第一試練が315で第二試練が390」



 第二試練で活躍出来なさすぎたのか。

 でもながつきには勝ててるという優越感。



「鈴と朱音は?」


「私は第一試練が350で第二試練が290」


「私はっスね、第一が290で第二が400っス」



 朱音は結構な高得点で少し驚かされた。

 鈴の場合は回復霊術ってだけでも点数が多いのだろう。



「じゃあまた明日からは第二試練の観客だね」



 そう言って皆と別れて山小屋に帰る。

 もちろん何も起こらないで。



 ※



 それから二週間、特に何も起こらず第二試練の最終日になった。

 最後の班は関わりがなくなって忘れていた、一ノ瀬暮夜の班だった。



「第二試練、第一七零班、開始」



 一七零班だと‼

 一日に二班ずつでそれが三十日で六十班くらいしかいないんじゃ?



「あれだよ、俺たちはここだったけど、他に二つ場所があるよ」


「なるほど、って心を読むなよ」


「いやー、何となくわかっちゃってね」



 そんなに顔に出てたのか?



「うん、顔に出てるよ。それと当主になるなら交渉とかもすることになるから心読術は覚えないとだからね」


「なるほどね、結構当主って大変なんだな」


「おっ‼ 暮夜が戦うぞ」



 観てみると一ノ瀬暮夜班の悪霊は、殺人兎だった。

 殺人兎は孤独死した人たちの心が集まった妖怪だ。


 そして一番の面倒な所が、自爆だ。

 心中するかのように自爆するのが危険で威力も申し分ない。


 それが5体も、よく集めたものだ。




 ――――――――――――――――――――――――――――――

 ※     ~一ノ瀬(いちのせ)暮夜(くれや)視点~


 殺人兎を五体倒せばいいだけか。

 今の俺には力が溢れてるから問題ないだろう。



「一人一体で殺人兎を狩れ」



 そう命令をして班員と別れる。

 殺人兎の特性として大勢で攻撃を仕掛けると強くなり、逆に一人だとそれほど苦ではない。

 孤独死したからというのが理由だろう。



「来たか、獲物」


「グギィィァ」



 殺人兎は気持ち悪い音を発しているが、今の俺には妙に心地い。

 そして鬼を従えた俺には呆気ない敵だろうな。

 ここ最近上手くいかなすぎたからここらで鬱憤晴らしとでもいくか。



「炎霊術 火の玉」



 初級中の初級の霊術で様子見をする。

 つもりだった、が、殺人兎は体のあちこちを灰にして死んでいる。



「呆気ないな。炎霊術 火の玉」



 外皮残らず灰にしてしまう。

 これで安らかに眠れるだろう。


 鬼に憑かれた可哀想な子。


朱音の身体強化霊術


朱雀(すざく) 跳躍型

白虎(びゃっこ) 攻撃型

青龍(せいりゅう) 俊敏型

玄武(げんぶ) 防御型

麒麟(きりん) 総合型


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