たかだか510,065,600kmの神魔遊戯
高次元。
人という矮小な存在が認識することすら叶わない場所。
そこでは二柱の神が相対していた。
一柱は陽神。
司るは陽力と呼ばれるエネルギー体と、それから生まれた生物たち。
もう一柱は陰神。
司るは陰力と呼ばれる陽力とは相反するエネルギー体と、それから生まれた生物たち。
数は陽力から生まれた生物の方が多く、質は陰力から生まれた生物の方が高い。
二柱の神は自らの手元にある小さな盤面を見つめていた。
「あー、こりゃ勝てそうにないわー。数は力って言っても質も数も多くされたら数だけじゃ勝てないよ」
「数だけあってもなあ。こっちは少ないなら増えればいいわけだし質はこっちの方がもとから上なわけで。数で有利だからって慢心はダメ絶対ってな」
「盤面ひっくり返していい?」
「ダメ」
「えー、最初っからやり直そう?」
「ダメ。時間かかるし面倒だし」
「そこをなんとか!」
「……仕方ないなあ。じゃあ余所から駒持ってきていいよ。一個にだけならエネルギーを沢山入れていいから」
「やったー!!」
陽神はいそいそと他の盤面から適当に選んだ駒を持ってくる。
「あー、なんて言おう。それっぽいこと言えば大丈夫だよね?」
「手違いで死んだから違う世界送ってあげるよーでいいんじゃね?サービスするとか言えば喜び勇んでいくでしょ」
「それもそっかー。あ、なんか騒いでる。……申し訳ありません。貴方は手違いで死んでしまいました」
陽神の厳かな雰囲気と普段のギャップに笑いそうになる陰神。
笑ってはいけない神様降臨。
無事笑わずにいられた陽神は陰神に怒った。
「ちょっと笑わせるなよな」
「いやいや、そっちが笑わせてるんだよ」
ひとしきりじゃれあい笑いあうと二柱は盤面に向かい合う。
これはたかだか510,065,600kmの盤面遊戯の一幕であった。
「あー、くっそ負けた!」
「やったー!!」
大抵は陰神が陽神を甘やかして負けるまでがセットのよくある出来事だ。




