みんなぁ!放課後だ!
授業を終わるチャイムが鳴る。それは同時に放課後の時間になったことを告げる音でもあった
吉良豹士にとってこの音は自分の運命を決めるゴングと言っても過言ではなかった
「よっしゃぁ!出陣じゃぁぁ!」
足を教室の外に出し地を踏む
しかしその足は地につくことはなく、代わりに彼の体が浮き上がり視界が上になりそのまま後ろに叩きつけられた
隆重が後ろから表示の腰に掴みかかり、綺麗なジャーマンスープレックスを決めたのだ
ジャーマンスープレックスを決められた豹士はしばらく打った頭と背中を抱えこむように丸くなり痛みに悶えていた
ちなみにクラスの連中はまたかと思い呆れた視線を二人に送っていた
「おい、武藤。吉良がいきなり叫んで教室を飛び出して行こうとするのを阻止するのにそこまでする必要があったのか?」
二人のクラスの担任である陣内朗が呆れたように言った
「ロウ先生、こいつを今止めておかないと俺が後でめんどいことになるんです」
「そうなのか…。しかしやりすぎじゃないのか。」
「大丈夫です。こいつには結構やってるんで慣れてるはずです」
「そうか…あとロウ先生って呼ぶな。あきらだって何度も言っているだろう」
「へいへーいほー」
「与作か。まあ今回も大丈夫そうだから大事にはしないけど怪我だけはしないように手加減しろよ」
「サンキューロウ先生」
担任の陣内はそう言い残し、眠そうにあくびをしながら扉の近くで悶えてる豹士を通り過ぎ出ていった
まだ痛みに悶えてる豹士を放って隆重は自分の荷物をまとめに自分の机に向かった。
まず、机の中の教科書やノートを取り出し明日ある授業を確認する
明日ある授業の教科書だけを机に戻し、その他のものをリュックに詰め込む
お昼に食べたカツサンドが一切れ残っていたので食べようかと迷ったが家に帰ってから食べるほうがいいと思いリュックに戻す
お茶を飲みホッと一息をつく
「な〜にくつろいでんじゃぁぁぁぁぁあ!!!」
鬼のような形相で机の横から豹士が勢いよく飛び出してきた
「だまれ」
「あ、すいません」
シュンとなり空白の時間が作られる
「…お前はいつも先走りすぎなんだよ」
「でもジャーマンはやりすぎじゃ…」
「筋肉バスターを掛けられなかっただけマシだと思え」
「はい」
「というか、近づいたらアレルギー出るのにどうするつもりだったんだ」
「ふふふ…その点は安心しろ」
自分の席に戻りカバンを持ってき中から漁りだし取り出した
「ガスマ〜ス〜ク〜」
豹士の手にあったのは黒々しく重厚で異様で怪しい雰囲気をまとったガスマスクだ
「お前…」
「ふっ…これでくしゃみや鼻水は出ない…」
「ものすごいドヤ顔で語っているところ申し訳ないがそれじゃ顔が見えないんじゃないのか」
「……」
「……」
「…………はっ!!」
そのことに気づき絶望の表情を浮かべ膝から崩れ落ちるという表現の見本のようなリアクションをとる
「あほめ」
冷たい視線を送りながら携帯をいじる隆重
「うぉぉぉぉぉぉぉ……」
表示の悲痛な叫びが教室に静かに響き渡る…
クリスマスソングが街に流れてきましたね
自分は「きっと君はこな〜い」のやつが好きです
次は女子の二人の番です