ⅸ.【長命水の泉】
前の島で採取しておいた食料で夜ご飯を済ませ、ダルシャンと語らった後は、明日に備えて早めの就寝。明日はどこに行ってみようかな…そんなことを考えながら横になっていたのだけど、結論が出る前に眠りについていて…気づけば陽射しが私に降り注いでいて! 朝だ!
ダルシャンのところへ行き、朝の挨拶を済ませる。今日の予定は…うん、パッと思いついたところが良いよね! ということで、さっき思いついた場所に行ってみたいとダルシャンに伝える。
【ダルシャン、今日は前に言ってた長寿の水が湧き出るところに行ってみたいな! 綺麗な泉なんでしょう?】
【ああ、様々に色づいた泉が点在しておるのでな。リイは気にいるだろう】
【泉にいろんな色がついてるの? ちなみに長命水は何色なの?】
【長命水はリイの世界で言うと…ピンクといったか? リイが持って来ている…そう、その袋のような色だ】
【ピ、ピンク…しかも、結構鮮やかなピンクね。見る分には良いけど…いつかこんなピンクの水を飲むのね…】
【味はおそらくないと思うが。試しに今日飲んでも良いのだぞ?】
【まだ飲まないよ。地球でお婆ちゃんになっても、全然寿命がこないのもおかしいでしょ】
【そうか。味見くらいなら、そう変わらぬがな】
【とりあえず今日は良いよ。もっと長く滞在した時には、少し飲まなきゃだろうけど】
(どピンクの水を飲むのは後回し…後回し…)
朝食を済ませ、早速ダルシャンの背に乗って、泉に行くことに。ゆっくり飛んでもらったけど、泉までそう時間はかからなくて。眼下に広がるのは、色とりどり…そして大小様々な泉…ピンクもあれば、深い蒼もあり、深紅に乳白色に銀色などなど…濃淡の違いも入れれば一つとして同じ色の泉はないようだった。
【すごっ! すごいね、ダルシャン! まさかこんなにたくさんあるなんて思わなかったよ! 幾つあるの?!】
【さて、数えるものがいないのでな。我もわからぬ】
【ま、数えるのも大変そうだもの! ピンクが長命水として、他の色の泉にもそれぞれ効能があるの?】
【傷を癒すもの、空腹を満たすもの、魔力を回復させるもの…様々だな。全てを調べているわけではないが、効能が無いものもあると聞く。効能が薄くて、竜の身にはわからぬだけなのかもしれぬが】
【そっか、小さな効能だとわからないこともあるかもだよねー。色の濃淡があるけど、やっぱり色が濃い方が効果も高いの?】
【そのようだ。だから、リイが最初に飲むのであれば、あまり効果の強いものは避けた方が良いだろう。人の身には一口、一浴びでも、効果が大きいだろうからな。幸い幾つかの泉はこれまでこの地を訪れた人間が試しているのでな、その泉のものを試すべきであろうな。リイは身体が小さいのだから、少しずつ試さねば…】
【大丈夫、小さくても私は結構丈夫なのよ? もちろん慎重に試していくつもりだけどね!】
そんな会話をしながら、泉の上空を飛んでいたのだけど、どうせならもっと近くからも見てみたい。泉のほとりに降りてもらって、近くから泉を観察する。
(深紅とか…ボコボコ湧いた日には地獄温泉よね…。でも、ここの泉は温泉ではなさそう…)
幾つかの泉を見てみたけれど、どれも冷泉のようだった。
【温泉…温かい泉というのは、ここにはないの?】
【リイの世界では温泉というのか? 温かい泉ならば、幾つかあるぞ。この泉は岩石群の地質にも影響されておるのでな。火石を多く含む場所では、泉も温かいのだ】
【そうなんだ! ちなみにその泉は何色で、どんな効能があるの?】
【銀色は魔力を回復させるのだが、確か銀色の温泉があったはずだ。あとは何があったか…】
【そこにも行ける?】
【もちろんだ。我がリイをどこにでも連れて行くぞ。行きたいところがあれば、遠慮は要らぬ】
【ありがと! じゃ、温泉に連れて行って!】
それから、またダルシャンの背に乗って、温泉巡り。魔力はまだ感じないけど、魔力回復の温泉なら少し触っても問題ないだろうと、念のため淡い色の温泉に手を浸してみる。
【あったかい! 本当、温泉だね!】
魔力を感じることが出来るようになって、魔法を使った後なら、回復するって感覚も分かるようになるのかな? またそうなったら入りに来たいな!




