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Ⅲ.【異世界に冒険に出かけよう】

 それからは、毎日ダルシャンのところに通った。学校のある日は放課後に、休みの日は朝から夕方まで。さすが3000年を生きているだけあって、いくら聞いても彼の語るエピソードら尽きなくて。それに比べたら、15年しか生きていない私の語るエピソードは少ないわけで…。でも、私の考え方自体が面白いから飽きないと言ってくれたのは…救いかな?



「今は子竜の姿だけど、やっぱりこれから大きくなっていくんだよね? あんまり成長すると隠れるところが…大丈夫かなぁ…」



 神社の周りは木々がたくさんで、今のところは隠れるところがたくさんあるけど、大きくなったらさすがに…。



【いや。この姿は仮の姿なのでな。大きくなろうと思えばなれるが、この姿のままでいることも可能だ】


「そうなんだ。じゃあ、一気に成竜の姿にもなれるの?」


【可能だ。なってみせようか?】


「…見てみたいけど…さすがにここではまずいかな。滅多に人は来ないけど、それでもね…」


【そうか。見てみたいのなら、いつか我が世界に渡った時に見せよう】



 そう、ダルシャンと私はいつかダルシャンが住んていた世界に渡ることを約束してるんだ。座標がある世界へなら、力を消費せず渡れるらしいし、日本に戻ってくるのも、今回で座標を作ることが出来たから問題ないらしい。


 で、私が付いて行くのも大丈夫なんだって! 竜のいない地球でダルシャンに冒険してもらうわけにはいかないしね。ダルシャンがいた世界はダルシャン自身は知りつくしているし、暇を持て余したから地球に渡ってきたわけだけど…私という旅の連れがいれば、また違った面白さがあるだろうって。


 でも、今すぐには無理。今は学校があるしね。だから、夏休みになるのを待ってからということになっている。私の両親は結構な放任主義。夏休み中に『自転車で旅してくる!』とかって言っても、大丈夫だったもの。ダルシャンのいた世界に渡るのも、『ちょっと旅行に行ってくる!』と言えば大丈夫だろう。


 一ヶ月ちょっとの旅行になるけど、空を自在に駆けるダルシャンとなら、たくさんのところを見ることができるはずだ。ダルシャンにかかれば、日本に帰る時に数ヶ月~1年程度なら、時間調整して戻ってこれるみたいだけど…向こうで過ごした時間はカウントされるみたいだから…。ダルシャンみたいに、姿を自在に操れるわけじゃない私は、それを繰り返していたら歳を取るのが早くなっちゃうものね。


 ただ裏技? というのがあって、ダルシャンが渡ることのできる世界の一つには、姿を自在に操れる魔法があるらしい。それを使えば姿の問題は解決だけど、それを私がすぐに使いこなせるようになるわけでもなく。微妙に若返らせるとかは、自分の姿を知りつくした、自分自身で行うのが1番のようだから、他者にかけてもらうわけにもいない。だから、それまでは夏休みなんかを利用して、冒険に旅立つことになるだろう。そうすれば、時を遡って戻ってくる必要もないしね。


 え? 裏技を使って姿だけ若返らせても、経ってしまった年月は戻せないんじゃあって? それにも更なる裏技があってね。ダルシャン達が住む竜の住処には、長命水というのがあるんだって。それを飲むと寿命が延びるみたい。元々寿命が長い竜は飲むことがほとんどなくて、ほぼ放置されているらしいけど。微調整なら、ほんの少し口に含むくらいで大丈夫らしい。



 ダルシャンと約束している、もう一つのことがある。何歳になるかわからないけど、日本で寿命を迎えることになったら…その直前に可能であればダルシャンの世界に連れて行ってもらうことになっている。そこで長命水を飲み、若い頃の姿に戻って、またダルシャンとの異世界冒険が始まるのだ。さすがに竜ほど長生きはできなくても、本来の寿命からしたら考えられないほどには冒険を楽しむことができるだろう。私も、こちらの世界で寿命を全うした後なら、心置きなくダルシャンについて行くことができるからね。実際には寿命を全うする直前に、世界を渡ることになるんだけど…その辺りのこともダルシャンがどうにかしてくれるらしい。


 でも、こちらの世界での寿命が尽きる直前って、わかるのかな?と思っていたら、ダルシャンには分かると言われた。



【最期の形がどうであれ、命の灯火が尽きようとしていることは、我には分かる。リイの最期を我が見逃すことはない】



 ダルシャンのことは信じてる。日本での生活を捨てて、今すぐにダルシャンと冒険に旅立つのは無理だけど、本格的な冒険は第二の人生で楽しめば良いんだもの。ダルシャンなら確実に、第二の人生のスタートをきらせてくれるだろう。それまでは、プチ異世界冒険を楽しむことにしよう!

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