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Ⅱ.【竜王様は世界の覇王だそうです】

 火竜、改めダルシャンがいた世界では、竜が空の覇権を握っていたんだって。



「“火”竜ってことは、他にもいろんな竜がいるの?」


【そうだ。火竜のほかには、水竜、地竜、風竜がおる。竜の中でも火竜は、攻撃に優れておる。地竜は護りに、水竜は癒しに、風竜は速さに優れておるぞ】


「そうなんだ。攻撃って…やっぱり火を吐いたりするの?」


【もちろん火を吐くこともできる。だが、それだけではない。火の魔法を行使もすれば、我が爪や牙でも闘うのだからな】



 ふむふむ、竜の中でも火竜の力は強いと。しかも、魔法もある世界なのね。で、竜が空の覇権を握っている世界でもあって…。ん? ってことは、その火竜の王様だったダルシャンは、実質的に世界の覇王!? 地上にいくら強い存在がいても、空を征してる竜の方が強そうだ。それにダルシャンは『覇権を握ったから暇を持て余して』とも言ってたし…!



「じゃあ、火竜の王様が1番強いってこと?」


【そうだ。我に敵うものは、もはや我が世界にはおらぬ】



 ほぉ…すごい…。でも、そんなすごい王様も今の姿は、可愛らしさの残るこどもの竜なんだけど…ね。そう、竜王様はタマゴから産まれたのだ! なんで…?!



「ねぇ、なんでダルシャンはタマゴの中にいたの?」


【座標もなく界を渡るには、相当な力を要するのだ。竜王とて、それは同じこと。休眠を取るにはタマゴが適しておるのだ】


「そうなんだ。じゃあ、休眠がしっかり取れたから、タマゴから孵ったの?」


【休眠が充分取れたのもあるが…タマゴから孵ったのは、波長の合う者と出会ったからであろう】


「波長の合う者?」


【そなたのことだ】


「わ、私? 私とダルシャンは波長が合ってるの?」


【そうであろうな。波長が合うものに出会ったことで、目覚めを促されたのだろう。他の種族と波長が合うことなど、今まではなかったのだが。世界が変わると、面白い経験もできるものだ】



 そう言って笑うダルシャンは、やっぱり可愛くて。長く生きてるって言ってたけど、一体どれくらい?



「ところでダルシャンって、何歳なの?」


【細かくは数えておらんが、少なくとも3000年は生きておる】


「3000年!? な、長いって言っても数百年とかだと思ってた…」



 この可愛いらしい外見で3000歳…いや、この姿は本来の姿じゃないみたいだけど…でも! なんか裏切られた気分!



【そなたは…】


「私の名前は“そなた”じゃないわ。友達なんだから、名前で呼んで欲しい」


【ふむ…そういうものか。それでは…リイは何年生きておるのだ?】


「私は今年15歳になったの。 ダルシャンと比べたら、あれだけど…」


【人間は寿命が短い。我らと比べるのは無理な話だ。竜の15歳であれば、まだまだ半人前だが、人間の15歳とやらは、すでに一人前なのであろう?】


「む…人の15歳もまだ一人前とは言えないかも。まだ学校に行ってるし、一応成人は20歳だし…」


【そういえば、人間は学校とやらに通うのだったか。こちらの世界も人間の生活は、そこまで変わらぬのかも知れぬな】


「竜には学校はないんだ?」


【学校というものはない。自然と竜が好む地に集まってはいるが、人間のように集団を作るわけではないからな。王というのも種族の中で1番強いものを指すだけで、人間の王のように国を統治しているわけではないのだ】


「そうなんだ。王様っていうから、竜の国を想像してたよ。ダルシャンは結構、人の生活のこと知ってるんだね」


【これまでには人間の友を得たこともあったのでな。随分と昔のことだが。我が世界では、今では我に向かってくる気概のある人間はいなくなったようだ。リイは我が怖くはないのか?】


「ん、怖くないよ。ダルシャンがタマゴから孵ったところから見てるからかも知れないけど」


【この世界では竜は絶えて久しいであろうに、子竜の姿とはいえ怖がらぬとはな。波長が合うだけでない。リイは我に新たな発見をさせてくれそうだ】


「私も! 今日だけでも、たくさんのことを知ることができた! まだまだ話を聞かせてね!」


 こうして、時間が許す限りお互いのことを語り合った。明日も必ず来ると約束して、私は家に帰ることにした。


 ちなみに、ご飯は大丈夫なのかと聞いたけど…。子竜の姿でも、自分で調達できるから大丈夫だと言われた。逞しい子竜…さすが竜王様だね!

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