侵入経路?
〜工廠村 本部〜
ーコンコン
「なんだ、今取り込み中なのだが」
ーこれは失礼致しました、出直してまいります
「ロバートさんでしたか、無礼をお許しください」
「はっはっは、相変わらずお堅いですな、エド殿は」
「ロバートさんこそ相変わらず意地が悪い、最初から名乗って頂ければ…」
「エドよ、突然で済まなかったな。悪いが兵を退けてくれんか」
「ガル、まさか君まで。工場はどうした、空けてきて良かったのか?」
「まぁ、な。とりあえす兵を頼む」
ー君たち、すまんが外してくれるか
ーはっ!
「昔話をするような雰囲気ではないな」
「お?珍しい発言だなエド、してもいいんだぜ、お前の残念な話」
「わざわざ残念な話をしなくてもいいだろう…」
「ガル様、お言葉ですがそんな場合ではないでしょう」
「冗談だよ全く…」
「私とガル様は同じ要件を申し上げるために参りました、昨日の話なのですが…」
「あぁロバート、まどろっこしいことはいい。単刀直入に聞く」
アベル・クレスウェル…あいつは何者だ?
〜機械区 狭間周辺〜
「魔女学校へ?もう学校は閉まっちゃてるよ。明日配達の時にでも」
「違うんだよ、それじゃ意味がない。これからお前がするのは魔女学校の、いや魔女のって言うべきか。様子を見ることだ」
「様子見?だからそれこそ配達の時でもいいじゃない」
「…はぁ。わかった。一から説明してやる。俺が一度帰らせず直接魔女学校に行って欲しい理由だ。調べてみた、というか聞き込みをしてみたんだが、ここ数年で魔女学校に出入りしている人間はアベル、お前以外にいないって分かった」
「え、でも関所には魔女じゃないひともいて」
「それはあくまでも敷地内って話だろ?」
「言われてみれば…」
思い返してみた。
あの廊下にも、あの部屋にも、もちろん校長室にも。
確かに、魔女の制服を着ていない人は僕しかいなかった。
「理由については全くわからん、お前が魔女の親族だからだろうと思ったんだがそうでもないらしい。弟だからって入れてるのはお前だけだ」
「う、うん」
なんだそのどうしようもない些細な事実が怖くて仕方なかった。
今思えば、なんだか僕にはそれが多い。
「まぁ理由はわからんがその状況を利用させてもらおう。お前でも許可が必要なこの警戒状態に、許可なしで尚且つ機械区との関係を疑わせる物をもって侵入する」
「でも捕まっちゃうんじゃ」
「まぁ、見つからないと反応は見れんしなぁ。捕まってもお前ならなんとかなるんじゃね」
「最後の最後で軽いよ!」
「この機械で一目特定できるから、なんかあったらすぐ行くよ」
「わ、わかった」
「できればお前と面識のある、できるだけえらい人に見つかってね」
「なんか、どんどんハードル上がってるよぉ…」
面識があって偉い人…か。
副校長先生かな、できれば普通に会ってお話したい。
でも配達の時はなんだか様子がおかしかったし、なにかわかるかな。
「侵入ルートはどうするの、ダレン」
「うーん、考えてない」
「えぇ!?」
「おっと、電源切れそうじゃん、まぁ侵入し終わったらおれんちき…
ープツッ
どうしよう、このまま帰りたい