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五話

 俺は大きなモンスターの気配に反応して目を覚ました。



「こいつが例のアンデットモンスターだな」



 俺が視線を固定しているその先の森が段々と枯れていく。ズンズンと地面が揺れていることから相当な大きさであることが分かる。


 これは大物だ。

 だが、今日の目的はこいつではない。


 俺は無詠唱で転移魔法を使い、すっかり暗くなった森を後にした。







「こ、これを一体どこで!?」



 冒険者ギルドの一角で受付嬢が驚いているのは俺が持ってきた素材に対してだ。



「早く換算しろ」



「も、申し訳ありません。すぐに取り掛かります」



 冒険者の中で込み入った事を聞かないのは暗黙のルールである。

 30分ほどテーブルで待っていると先ほどの受付嬢に呼ばれた。



「リッチモンド様、計算が終わりましたのでこちらへどうぞ」



「ご苦労」



「いえ、仕事ですので。・・・ええと、下級薬草は1本50Gで買い取っておりますので50×100で5千Gになります。同じように中級薬草は500×50で2万5千Gに、上級薬草は5000×15で7万5千Gになりました。鉱石は2種類合わせて2万Gとなり、合計は12万5千Gです」



 ぎっしりと詰まったG金貨の入った袋を受け取り、俺は足早にギルドを後にする。

 今日はまだやることがあるのだ。それは料理である。

 ダンジョンの奥深くで暮らしていたときはろくな食材が手に入らなかったためどんなに料理スキルのLvを上げてもなかなか合格点の出せる味の料理を作ることはできなかった。

 そのため人間の世界の素材で作る料理を俺はとても楽しみにしていた。


 





 市場でありったけの食材と香辛料・調味料を買い込んでいるときに俺はふと考えた。

 

 果たして自分の料理は本当においしいのだろうか。

 今までろくなものを口にしていなかったせいで自分の味覚が信用できないのだ。


 誰か、味を見てもらえる人間が必要だ。

 だがこの町に着たばかりの俺には信用できる人間なんていない。

 どうするか。

 そんなとき俺はこの町に来たときに見た案内図を思い出した。

 

 確か、西に奴隷商の建物があったはず。

 料理を食べさせるためだけに奴隷を買うなんて他の者なら絶対にしないだろう。だが俺はやる。そのためだけに奴隷を買う。

 その価値があると判断したからだ。







 俺が奴隷館と呼ばれる建物についた頃にはすっかり夜になっていた。



「さてと、入るか」



 扉を開けると奴隷商と思われる男が俺を出迎えた。



「我が奴隷館へようこそ、お客様。私は奴隷商のアルク、アルク・アッケンリーでございます。本日はどのような奴隷をお探しでしょうか?」



「お前が持て余している、訳ありで売れない奴隷だ」



「・・・なんと、ええ。では、私が責任を持って斡旋させて頂きますとも。少々お待ちを」



 そう言って男は奥の扉へと消えていった。

 それにしてもこの館は客と交渉をするこの場所以外はほとんど奴隷で埋まっているのだろう。俺の生態感知には予想をはるかに上回る数の生体反応がかかっている。

 それから10分ほど待った。



「遅くなりました、ご希望に沿う奴隷を連れてまいりました」



 そういった男の後から奴隷たちが入ってくる。

 その数は全部で13人。

 全て俺の希望通り、何らかの事情があって売れないような奴隷たちだ。


 やけどの跡だろうか、ひどくただれた顔をしている者。先ほどからずっと咳き込んでいる者。他の奴隷に支えてもらって立っている者。

 中にはエルフや獣人といった種族のものも含まれている。

 だが、よく見ると皆若い女たちだ。



「男はいないのか?」



「はい、男の奴隷は主に力仕事のためや戦闘奴隷として買われます。そのため主に愛玩用として買われる女奴隷と違って、多様の傷物でも買い手がつくのです」



 なるほど。



「では、こちらの奴隷たちの説明をさせていただいてもよろしいでしょうか?」



「ああ、かまわない」



「はい、ではまずこの奴隷からです。彼女は・・・・・・」



 奴隷商の男が話し始め、俺はその話を聞きながら無詠唱で奴隷たちに鑑定魔法を使う。







 今回目に留まったのは二人。

 

 一人はスキルに料理Lv4を持っていた者。背が低く、胸は無いが、茶髪でかわいらしい顔立ちをしている。しかしその右手は無い。本当ならば宝石のようであったはずの黒い瞳も絶望で染まってしまっている。

 

 もう一人は元貴族だという者。こちらは女性としては一般的な背の高さをしており、胸もなかなかの大きさだ。だが問題なのはその顔だ。やけどの跡でひどくただれている。髪は一本も生えておらず、目も片方つぶれており、もう片方の目はやはり、もう一人の少女と同じように絶望に染まっている。

 

 どちらにしようか迷ったが、この際、どちらも買うことにした。





大丈夫、大丈夫だから!


奴隷の少女たちはちゃんとかわいくなりますのでー



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