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二話

 町に入ってすぐ近くにある案内図で冒険者ギルドの場所を確認する。



「なるほど、どうやらこの町の冒険者ギルドは北側にあるらしい」



 ちなみにこの町の名前はアルヴィム。これも案内図の上の方に書いてあったことだが、思っていた以上に大きな町らしい。

 他の町を見たのはもう昔のことなので比べることはできないが、おそらく町の大きさとしては中規模といっても過言ではないだろう。



「では、行くとするか」







 歩くこと十数分。冒険者ギルドと思わしき建物が見えてくる。その入り口から武装した冒険者と見られる者たちが出入りをしている。

 俺も扉を開けて入ったほかの冒険者達に続いて中へと入る。







 冒険者ギルドの建物の中はとても広々としていた。受付は十箇所近くあるのではないだろうか。その全てでギルド職員の女性たちが仕事をしている。彼女たちは依頼書の始末をしているのだろう。

 左右を見渡すとテーブルがいくつも置かれている。これらはパーティを組んだ者たちが話し合ったりするためにある。

 しかし、こういうところには大抵ろくでもないやつが居たりするのだ。

 

 たとえば、



「げはははははー!見ろよ、オッツォ。ガキが迷い込んできたぜ」



「本当だ、グラム。ここにはミルクを飲ませてくれるママはいないってぇのになあ!」



 こういう自分に酔って他人を卑下する者とか、な。


 周りの人間たちがその光景を見ながらも何も言えないで居るところを見ると、この冒険者たちはそこそこの実力者と見ていいか。

 ギルド職員の女性たちも困った顔をしている者、眉間にしわを寄せている者、あわあわとあわてている者など様々な反応をしている。



「おい、何とか言えよ、ガキィ!」



「そうだ、俺たちはあのドラゴンズ・アイだぞ!」



 ん、ドラゴンズ・アイ?


 なんだそれは?



 ・・・ああ、パーティ名か。



 それにしても、ドラゴンズ・アイなど。



「竜の名を語るにしては実力が伴っていないのではないか?」



 一瞬の静寂。


 そして、



「なんだとおおお!?コイツゥゥウ!」



「て、てめぇ~~!」



 二人とも激昂してテーブルをひっくり返してこちらへとやって来る。



「ぶっころすぞ、ガキィ」



 グラムと呼ばれていた方の男が俺に殴りかかろうとした、まさにそのとき。



「お止め下さい」



 若い女の声が響いた。

 視線をそちらに移すと一人のギルド職員が立ち上がっていた。

 

 ふむ、随分と若いな。

 歳は14,5といったところか。本当に若い。



「なんだと、嬢ちゃん。あんたは関係ねえ」



「ああそうだ、嬢ちゃんがこの責任を取ってくれるのか?ぐへへへ」



 男どもが下卑た笑い声を上げる。

 先ほどのギルド嬢を良く見ると足が震えている。目に涙も浮かべている。それはそうだろう、彼女はまだ子供といってもいい歳だ。だが、俺を助けるために勇気を出して立ち上がったのだろう。

 そんな彼女のために俺も立ち上がる、なんてことはない。

 俺は情ではなく益で動く。

 彼女にこの面倒ごとが押し付けられるのならばそれに越したことはない。



「おいっ、どうなんだよ!ああ!?」



「なんとか言えよ!」



 あの二人組みの剣幕ににさっきのギルド嬢が何も言えなくなってしまっている。挙句の果てに彼女は失禁してしまい、足をガクガクと震わせ、床にぺたんと座り込んでしまった。



「あ~あ、もらしちゃったぜ、あの子」



「だなあ。ぐへへ。あとで俺がきれいにしてやるよ」



 まあ、もう自分には関係ないことだ。

 さっさと冒険者登録を済ませてしまおう。



 そう思い、隣のギルド職員の窓口に行こうとした俺を、さっきの男どもが呼び止める。



「待てよ、ガキ。逃げらんねえぞ」



「てめえはボコボコにするまで帰さねえ」



 むう、致し方ない。



「それは困るな」



「なにが困るな、だ!覚悟しろやああああ」



「おらああああああ」



 二人がかりで殴りかかってきた。

 俺は冷静に二人の手首を掴み、ありえない方向へと曲げる。



「ぐああああああ」



「ぎ、痛いいいいい」



 ギルド内に男たちの悲鳴が響いた。



「うがあああ、お、お前、ぜって~殺す!」



 グラムが折れていない左手に長剣を携えて走ってくる。

 だが、俺には止まっているように見える。



「魔法を使うまでもない」



 そう呟くとグラムの左腕を捻じ曲げ、奴の持っていた長剣でその左足を貫いた。



「ぎゃああああああああああああああ」



 ここで勝負にならない勝負が決した。











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