夜の裏世界
この世界には人口の大多数を占める人間と、ごく少数しかいない、人間を凌駕する圧倒的な身体能力を持った進化種がいる。
進化種は普通、その力の危険性のために人間世界から隔離されている。ある者は特別に訓練された人間たちに捕らえられ、ある者は逃げ続けてやがて群れを作る。
巨大化した群れは組織化されて、現在この世界には「群青の獅子」と「鮮紅の虎」という2つの組織がある。
一方人間は、強大な力を持つ進化種を害悪とみなして対進化種部隊Cosmosを作り上げ、日々進化種を全滅させるために戦っている。
これは、そんな人間と進化種の戦いの話である______
光きらめく都会の夜。華やかな光景の裏では、今夜も戦いが繰り広げられていた。
「指令隊長に報告。たった今、進化種を発見しました。相手は鮮紅の虎である可能性が高いです」
『分かった。襲ってくる奴は殺せ。可能ならば生け捕りにしろ』
鮮紅の虎は数年前から活動し始めた進化種の組織であり、人間の排除を目的としている。
組織のリーダーはシェンホンという名の者であり、結成当初から鮮紅の虎をまとめている。
「こちらA班。ただいま交戦中。敵の数はおよそ……うわぁ!」
「こちらD班。今、ビルの上にシェンホンらしき人影が……わあぁ!」
『おいどうした!状況を教えろ!』
「こちらC班。味方がほとんど……うっ!……」
「こちらB班。対峙した敵を倒し、他班の援助に向かいま……ああぁ!」
『おい!聞こえるかおい!返事をしろ!』
モニターの前で叫び続ける人がいる。
「おい!一体何があった!おい!」
『……』
「くそ!今日も全滅か。進化種の力は想像以上だ。何か手を打たなければ……」
華やかな表世界とは反対に、裏世界では多くの死体が転がっている。
その惨状を高所から見つめる影があった。
「まずは忌々しいこの特殊部隊から根絶やしにしてやる」




