暴露合戦
アレシアの家・応接間。
武装は外されたが、ゴーレムは壁際で待機中。
アレシア「というわけで! 久しぶりだし、近況報告会しよ!」
ルカ「嫌な予感しかしない」
隊長「興味深い」
シーラ「やめましょう」
アレシア「じゃあまずはシーラの――」
シーラ「その前に」
静かにカップを置く。
シーラ「公平性を担保するため、相互公開方式を提案します」
隊長「ほう」
ルカ「賢い」
アレシア「え?」
シーラ「私の過去を話すなら、アレシア様の過去も同時に」
アレシア「私は別に黒歴史とかないし!」
ルカ「ある」
アレシア「ないもん!」
シーラ「では始めましょう」
隊長が身を乗り出す。
シーラ「王立錬金学院二年次。アレシア様は“自律進化型ホムンクルス”を作ろうとしました」
隊員「いきなり重い」
アレシア「理論は完璧だった!」
シーラ「結果、生成されたのは」
ルカ「……」
シーラ「喋るスライムでした」
隊長「喋る?」
シーラ「語尾が“ぴょん”」
隊員、噴き出す。
アレシア「かわいかったよ!? 愛嬌あった!」
シーラ「三日後、寮を溶かしかけました」
アレシア「制御誤差!」
ルカ「誤差の規模」
隊長「他には?」
アレシア「待って! 次はシーラね!」
シーラ「どうぞ」
アレシア「三年次、期末発表。シーラは“完全無詠唱魔法”を披露しようとして」
シーラ「……」
アレシア「緊張で詠唱しちゃった」
隊員爆笑。
シーラ「事故です」
アレシア「しかも二重詠唱で暴発!」
シーラ「床が焦げただけです」
ルカ「講堂半壊」
隊長「堅物とは」
シーラ「では次。アレシア様は卒業式で」
アレシア「やめて」
シーラ「“私は魔女ではない!”と壇上で叫びました」
静寂。
隊長「その頃から」
ルカ「一貫性」
アレシア「だって噂が!」
シーラ「そして卒業論文のタイトル」
アレシア「言うな」
シーラ「“魔女的と誤認される錬金術的現象の再定義”」
隊長、吹き出す。
隊員たちも耐えきれない。
アレシア「真面目な研究だよ!?」
ルカ「タイトルの時点で負け」
アレシア「じゃあ最終兵器!」
シーラ、目を細める。
アレシア「シーラは一年次、寮の屋上で――」
シーラ「待って」
アレシア「“世界を守る騎士になる!”ってポーズ決めてた!」
隊員たち「へぇ……」
シーラ「……」
アレシア「しかもマントひらひらさせて!」
隊長「月光きらめく?」
シーラ「隊長」
隊長「冗談だ」
シーラは深く息を吐く。
そして、静かに言う。
シーラ「では最後に一つ」
アレシア「なに」
シーラ「アレシア様は研究に没頭するあまり、三日間食事を忘れ、倒れました」
空気が変わる。
シーラ「私が運びました」
アレシア「……」
シーラ「昔からそうです。危険なのは森ではありません」
静かに微笑む。
シーラ「この人です」
ルカ「的確」
隊長「報告書、難しいな」
アレシア「なんで私が危険扱いなの!?」
シーラ「悪意がないからです」
アレシア「褒められてない!」
隊員たちは完全に警戒を解いている。
森の外で“魔女”と恐れられた存在は、
ただの――
ちょっと規模の大きい、子供みたいな天才だった。




