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魔王様は足止めたい  作者: たっつん
不死鳥
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72/118

無事

メテオで落とした岩の下から赤い血がにじんでいるのが見える。

「はぁ…はぁ…」

「勝った!ぬし!やったぞ!」

「アーサーちゃん!」

リリスが近づいてくるがそれどころではない。

ブレスを防いでいた場所は!

「あ…」

見ると真っ黒に焦げた後しか残っていない。

隠れる場所なんて一つもない。

「勇敢であったの。部下に欲しいくらいじゃった。しかし奴らの死は…」

リリスを無視して私は地面を調べ始めた。

「この跡は…私とリリスが移動した跡。こっちは…?」

「何をしておる?この有様じゃ。骨も残らず死んだに決まって…」

「絶対に死んでない」

そう、死ぬはずがない。

アーサーちゃんは最後に約束といった。

『私たちは絶対に戦いで死にません』

そういう約束を交わした。

「だから絶対に…!これは…?」

何かを引きずった跡がある。

これはどこに?

たどっていくと20メートルほどのところで止まっている。

ブレスから少し外れたところ。

そこには何もないように見える。

なるほどね。

「この跡がどうしたと…」

「黙って」

目を瞑り集中する。


魔力感知


私とリリス、ほのかに不死鳥の気配を感じる。

そしてもう2つ、引きずった先に。

その場所に歩いていきゆっくりと手を触れる。

「アーサーちゃん」

それと同時にアーサーとハル、地面に寝転がっている二人の姿が現れた。

「ハイドの魔法か!」

「はぁ…はぁ…魔王様…信じてくれて…ありがとうございます」

「心配かけて…言葉足らずすぎだよ…!」

回復魔法をかける。

「しかし、ぬしらはどうやってあの炎を突破したのじゃ?この位置からでもあの炎は防ぎきれぬのではないか?」

「あ、確かに。どうやったの?」

「円形かつ二重にシールドを張っただけです。外側と内側、間を真空にすれば熱は通りません」

「そんな対処方法が…」

そんなのよく考え付いたね。

「ぬぅ…わからぬ…」

リリスの方は頭を悩ませているようだ。

「あ、だとしても魔力が足りないんじゃ…」

真空シールド2分半とハイドの魔法、ハイドはともかくシールドはかなり頑丈に精密にしなきゃならないから。

「私が助力しました」

「ハルさん!起きてたの!?」

「はい、何とか。途中で起きれてよかったです」

確かに戦いで消耗したとはいえ二人ならギリギリ足りるね。

「よかった…本当に…」

そうして座り込む。

本当に毎回ギリギリすぎないかな?

対処するにも限度があるよ?


その時、ボコっと地面から何かが生える音がする。

「え?」

そして各地からボコボコと腕っぽいものが見える。

人型の土塊、右目に機械。

それらがこちらに襲い掛かろうとしている。

「嘘でしょ!?」

忘れてた!

っていうかまたあるの!?

もう魔力も体力も…。


「キイィィィィ!!」

バコオォォン!!と何かが砕ける音。

「今度はなに!?」

その方向を見るとメテオで落とした岩が割れている。

上空には血まみれの不死鳥の姿。

復活したと言わんばかりに翼を広げている。


「まずい…」

まずいまずいまずいまずいまずい!!

どうしよう、もう戦う体力なんて…。


そうして絶望に叩きのめされそうになっていた時、

「ぬかった…わしとしたことが…」

不死鳥から出た声は聞き覚えのある口調。

「え…?不死鳥さん?」

おじいちゃんに戻ってる!だったら!

「不死鳥さん!あの…!」

「わかっておるわい、この状況も。心配せんでよい!」

「え?」

キョロキョロと周りを見渡す。

「まずはここから離脱じゃな!つかまれい!」

そうして地面すれすれに飛んでくる。

「え!?ちょっと待…うひゃあ!!」

足で私たちをつかんで上空へと飛び立っていった。


地面がどんどん遠くなっていく。

「はっはっは!よくぞ目を覚ましてくれた!礼を言うぞい」

「あ…はは…」

殺されかけてた相手が向かって…ちょっとトラウマになったよ。


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