無事
メテオで落とした岩の下から赤い血がにじんでいるのが見える。
「はぁ…はぁ…」
「勝った!ぬし!やったぞ!」
「アーサーちゃん!」
リリスが近づいてくるがそれどころではない。
ブレスを防いでいた場所は!
「あ…」
見ると真っ黒に焦げた後しか残っていない。
隠れる場所なんて一つもない。
「勇敢であったの。部下に欲しいくらいじゃった。しかし奴らの死は…」
リリスを無視して私は地面を調べ始めた。
「この跡は…私とリリスが移動した跡。こっちは…?」
「何をしておる?この有様じゃ。骨も残らず死んだに決まって…」
「絶対に死んでない」
そう、死ぬはずがない。
アーサーちゃんは最後に約束といった。
『私たちは絶対に戦いで死にません』
そういう約束を交わした。
「だから絶対に…!これは…?」
何かを引きずった跡がある。
これはどこに?
たどっていくと20メートルほどのところで止まっている。
ブレスから少し外れたところ。
そこには何もないように見える。
なるほどね。
「この跡がどうしたと…」
「黙って」
目を瞑り集中する。
魔力感知
私とリリス、ほのかに不死鳥の気配を感じる。
そしてもう2つ、引きずった先に。
その場所に歩いていきゆっくりと手を触れる。
「アーサーちゃん」
それと同時にアーサーとハル、地面に寝転がっている二人の姿が現れた。
「ハイドの魔法か!」
「はぁ…はぁ…魔王様…信じてくれて…ありがとうございます」
「心配かけて…言葉足らずすぎだよ…!」
回復魔法をかける。
「しかし、ぬしらはどうやってあの炎を突破したのじゃ?この位置からでもあの炎は防ぎきれぬのではないか?」
「あ、確かに。どうやったの?」
「円形かつ二重にシールドを張っただけです。外側と内側、間を真空にすれば熱は通りません」
「そんな対処方法が…」
そんなのよく考え付いたね。
「ぬぅ…わからぬ…」
リリスの方は頭を悩ませているようだ。
「あ、だとしても魔力が足りないんじゃ…」
真空シールド2分半とハイドの魔法、ハイドはともかくシールドはかなり頑丈に精密にしなきゃならないから。
「私が助力しました」
「ハルさん!起きてたの!?」
「はい、何とか。途中で起きれてよかったです」
確かに戦いで消耗したとはいえ二人ならギリギリ足りるね。
「よかった…本当に…」
そうして座り込む。
本当に毎回ギリギリすぎないかな?
対処するにも限度があるよ?
その時、ボコっと地面から何かが生える音がする。
「え?」
そして各地からボコボコと腕っぽいものが見える。
人型の土塊、右目に機械。
それらがこちらに襲い掛かろうとしている。
「嘘でしょ!?」
忘れてた!
っていうかまたあるの!?
もう魔力も体力も…。
「キイィィィィ!!」
バコオォォン!!と何かが砕ける音。
「今度はなに!?」
その方向を見るとメテオで落とした岩が割れている。
上空には血まみれの不死鳥の姿。
復活したと言わんばかりに翼を広げている。
「まずい…」
まずいまずいまずいまずいまずい!!
どうしよう、もう戦う体力なんて…。
そうして絶望に叩きのめされそうになっていた時、
「ぬかった…わしとしたことが…」
不死鳥から出た声は聞き覚えのある口調。
「え…?不死鳥さん?」
おじいちゃんに戻ってる!だったら!
「不死鳥さん!あの…!」
「わかっておるわい、この状況も。心配せんでよい!」
「え?」
キョロキョロと周りを見渡す。
「まずはここから離脱じゃな!つかまれい!」
そうして地面すれすれに飛んでくる。
「え!?ちょっと待…うひゃあ!!」
足で私たちをつかんで上空へと飛び立っていった。
地面がどんどん遠くなっていく。
「はっはっは!よくぞ目を覚ましてくれた!礼を言うぞい」
「あ…はは…」
殺されかけてた相手が向かって…ちょっとトラウマになったよ。




