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魔王様は足止めたい  作者: たっつん
不死鳥
72/75

無事

メテオで落とした岩の下から赤い血がにじんでいるのが見える。

「はぁ…はぁ…」

「勝った!ぬし!やったぞ!」

「アーサーちゃん!」

リリスが近づいてくるがそれどころではない。

ブレスを防いでいた場所は!

「あ…」

見ると真っ黒に焦げた後しか残っていない。

隠れる場所なんて一つもない。

「勇敢であったの。部下に欲しいくらいじゃった。しかし奴らの死は…」

リリスを無視して私は地面を調べ始めた。

「この跡は…私とリリスが移動した跡。こっちは…?」

「何をしておる?この有様じゃ。骨も残らず死んだに決まって…」

「絶対に死んでない」

そう、死ぬはずがない。

アーサーちゃんは最後に約束といった。

『私たちは絶対に戦いで死にません』

そういう約束を交わした。

「だから絶対に…!これは…?」

何かを引きずった跡がある。

これはどこに?

たどっていくと20メートルほどのところで止まっている。

ブレスから少し外れたところ。

そこには何もないように見える。

なるほどね。

「この跡がどうしたと…」

「黙って」

目を瞑り集中する。


魔力感知


私とリリス、ほのかに不死鳥の気配を感じる。

そしてもう2つ、引きずった先に。

その場所に歩いていきゆっくりと手を触れる。

「アーサーちゃん」

それと同時にアーサーとハル、地面に寝転がっている二人の姿が現れた。

「ハイドの魔法か!」

「はぁ…はぁ…魔王様…信じてくれて…ありがとうございます」

「心配かけて…言葉足らずすぎだよ…!」

回復魔法をかける。

「しかし、ぬしらはどうやってあの炎を突破したのじゃ?この位置からでもあの炎は防ぎきれぬのではないか?」

「あ、確かに。どうやったの?」

「円形かつ二重にシールドを張っただけです。外側と内側、間を真空にすれば熱は通りません」

「そんな対処方法が…」

そんなのよく考え付いたね。

「ぬぅ…わからぬ…」

リリスの方は頭を悩ませているようだ。

「あ、だとしても魔力が足りないんじゃ…」

真空シールド2分半とハイドの魔法、ハイドはともかくシールドはかなり頑丈に精密にしなきゃならないから。

「私が助力しました」

「ハルさん!起きてたの!?」

「はい、何とか。途中で起きれてよかったです」

確かに戦いで消耗したとはいえ二人ならギリギリ足りるね。

「よかった…本当に…」

そうして座り込む。

本当に毎回ギリギリすぎないかな?

対処するにも限度があるよ?


その時、ボコっと地面から何かが生える音がする。

「え?」

そして各地からボコボコと腕っぽいものが見える。

人型の土塊、右目に機械。

それらがこちらに襲い掛かろうとしている。

「嘘でしょ!?」

忘れてた!

っていうかまたあるの!?

もう魔力も体力も…。


「キイィィィィ!!」

バコオォォン!!と何かが砕ける音。

「今度はなに!?」

その方向を見るとメテオで落とした岩が割れている。

上空には血まみれの不死鳥の姿。

復活したと言わんばかりに翼を広げている。


「まずい…」

まずいまずいまずいまずいまずい!!

どうしよう、もう戦う体力なんて…。


そうして絶望に叩きのめされそうになっていた時、

「ぬかった…わしとしたことが…」

不死鳥から出た声は聞き覚えのある口調。

「え…?不死鳥さん?」

おじいちゃんに戻ってる!だったら!

「不死鳥さん!あの…!」

「わかっておるわい、この状況も。心配せんでよい!」

「え?」

キョロキョロと周りを見渡す。

「まずはここから離脱じゃな!つかまれい!」

そうして地面すれすれに飛んでくる。

「え!?ちょっと待…うひゃあ!!」

足で私たちをつかんで上空へと飛び立っていった。


地面がどんどん遠くなっていく。

「はっはっは!よくぞ目を覚ましてくれた!礼を言うぞい」

「あ…はは…」

殺されかけてた相手が向かって…ちょっとトラウマになったよ。


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