決死の作戦
「ごめんアーサーちゃん、それあと30秒以内で説明できる?」
正直ハルさんが持たない。
それにすぐそこに土塊が来ている。
「無理なので私の通りに動いてください」
あ、ですよね。
「ハル様!こちらにブレスを…」
アーサーが叫んだ瞬間、ハルの集中が一瞬切れたのか不死鳥の羽の端にガッと当たる。
「あっ!」
燃えながらこちらに吹き飛ばされる。
「リリス!受け止めて!」
「ぬぐ…世話の焼ける!」
まだ回復しきっていない体を引きずって高く飛び上がり受け止める。
戻ってきたハルはぐったりとしている。
遠くで見えなかったがやけどがひどい。
「ハル様!ごめんなさい、私が呼んだばっかりに!」
「ぐ…気にすることはない、アーサー。私の油断だ」
あぁ…あんなのを一人に任せたのが失敗だった…。
「魔王様、後は任せます…」
そうして目が閉じていく。
「ハルさん!ハルさん!」
「魔王様、大丈夫です、気絶しただけですので」
アーサーが私の肩に手を乗せる。
「…わかってる、まずは回復を!」
「ぬしよ、そんな時間もないようじゃぞ」
見ると不死鳥がこちらを向いている。
「やば…」
「キイィィィィィ!!」
そして飛ぶわけでもなくバサバサと羽を羽ばたかせる。
「風…?いや、マズい!アースウォール!クリエイトアイス!」
土と氷の壁を作り出す。
こちらに向かって熱風を浴びせてきた。
ジュワアァァ!と氷は一瞬で溶けていき、周りの人型の土塊は風で飛ばされている。
熱で右目の機械が壊れるものもいた。
「ありがたいけど…ありがたくないね!」
風程度では土壁は崩れないが温度がどんどん上がっている。
時折氷を生成しつつしばらく耐える。
そうしているとふと風が止むのを感じた。
「止んだ!今のうちに!」
そうして周りの状況を確認していると、
「すぐに来おるぞ!」
ドガアァァ!!とその言葉のすぐ後に土壁が壊れた。
「シールド!」
「キイイィィィ!!」
土の飛礫を防ぎながら見えたものは追い詰めたと言わんばかりの不死鳥の姿だった。
すぐさま息を大きく吸い始める不死鳥。
「回避…いや間に合わぬ!ブレスが来おるぞ!」
「クリエイト…」
ゴオォォォォ!!唱える前に大きな火炎がシールドに放たれる。
「ああ!ぐ…」
氷を作成する余裕がない。
周りの温度がどんどん上昇する。
でも…かなりきついが私達なら耐えられる。
魔族だから通常より耐久力は高い。
この程度、数分続いたところで…!
「かはっ…」
…えっ?
声がした。
苦しんでいる、まるで吐血のような…。
恐る恐る振り返る。
「アーサーちゃん!!」
そうだ、アーサーちゃんは人間だ。
私たちは耐えられても人間の…それにこんな小さい体では絶対持たない。
肺が焼けてしまう。
「ゴホッゴホッ!!」
バタバタと血を吐き、目から血も流し始める。
これはまずい、言っている間に死んでしまう。
「リリス!氷を!」
「す、すまぬ!余は氷は作れぬ」
く…ハルさんはまだ目覚めないし。
「アーサーちゃん、自分で作れる!?」
「ま、魔王様…お願いが…あります」
体を起き上がらせてこちらを見る。
「ぐ…なに?正直いっぱいいっぱいなんだけど」
「私とハル様を捨て置いてください」
…は?




