それぞれの決意
「アーサーちゃん、申し訳ないけどこれ持って行ってくれる?」
そう言って麻痺に効く薬やひん死のハーピィを回復させるためのポーションを差し出す。
「それとこれもハルさんに渡して」
そう言って手紙を渡す。
「ですが魔王様、もう勇者たちがそこまで来ていますよ!」
「だからこそ!ハルさんの力がどうしても必要になる。そしてこれはアーサーちゃんにしか頼めない仕事、行ってくれるね?」
「…はい、わかりました。では行ってできるだけすぐに帰ってきます」
そう言ってパタパタと出ていく。
「ごめんね…」
そしてすぐに騒がしい足音が聞こえる。
「魔王様!我にお任せを!」
最後の四天王、竜人のズメイさんだ。門番をしてくれている。
「いや、もうすぐにでも勇者が来る。直接話をしたいから丁重に…」
「では行ってくる!朗報を期待しているがよい!!」
「えっいやだから話を…」
話聞かないんだもの。
彼は四天王の中で一番強く、2回くらいなら自力で復活可能な能力を持っている。
強力な仲間だけど勇者の強さは話でも聞いているはず、策でもあるのかな。
--5分後--
普通に空から突っ込んでいって雷の槍で撃ち落とされた報を聞く。
「なかったよ!その絵柄前回のハーピィの突撃でも見たよ!」
何しに行ったんだあの人。
勇者一行
「もうすぐ魔王城につきますね」
「そういえば何だったんだろう?あの竜の鱗をかぶった姿をしたやつ。びっくりして雷の槍打っちゃったよ」
「まぁあんまり気にしなくていいだろ、話聞かなさそうな感じしてたし」
その時
「待て!我のことを話しているな!有名人になったものだ!」
ふと見ると植物をまとった者、ハーピィ、先ほど突っ込んできた竜の姿の者がいた
ミドリ、ハル、ズメイだ。
「うわ、生きてた」
「我ら四天王!魔王様を守るためここから先へは通さぬ!」
「3人しかいないけど」
「リッチーは魔王城の家事リーダーで忙しいのでな。私たち3人が相手をさせてもらう!」
ハルが風の剣を出す。前に出したものよりかなり大きい。
「では自分も本気を」
ミドリが地面から1つの大きな花とたくさんの小さな花を出し種の大砲とショットガンの準備を整える。
ズメイ心を静め闘気をまとわせる。
「なるほど、少しはできそうだ」
そして壮大な戦いが始まる。
少し前ハーピィ全滅地にて
「ハル様、この薬を」
「アーサー、すまない。ありがとう」
「それとこの手紙をいただいています。私は他のハーピィ様の手当てをしてきますので」
手紙を読み震える。
「転移遮断シールド」
そう唱えあたり一面にシールドが張られる。
「ハル様!?いったい何を!」
「アーサー、君はここで待っているんだ。魔王様は君を守るためにここへ送られたようだ」
「一体どういうことですか!?私も戦えます!」
「魔王様は死ぬおつもりだ」
「えっ…」
「しかし絶対にそうはさせない。私はこれから四天王を招集して勇者に挑むつもりだ」
「なら私も!」
「君はダメだ!許してくれ、これ以上犠牲者を増やしたくない」
そう言ってハルは魔王城の方へ飛んで向かっていく。
「あぁ…待って…ハルさまあぁぁぁ!!!」
---手紙内容---
ハルさん
まもなく勇者が魔王城へたどり着きます。
私はこれから彼らと直接対峙して和解の道がないか探るつもりです。
これまで見ていた限り話は通じるはずです。
それでも私はトップに立つ身としてゴブリンや人を襲う魔物を御しれなかった責任としておそらく打ち取られるでしょう。
でもそれでいい。
勇者もこれまでの戦いでいい魔族もいるということは少しはわかってもらえたはずです。
アーサーちゃんはそちらに避難させました。
これからは四天王のみんなとアーサーちゃんで魔族を率いていって。
みんなならできるはず。
ごめんね
平和な世界が来ると信じて、魔王より
次回最終話




