新手の軍勢
不死鳥が真っ赤に燃え上がり飛び上がった。
「不死鳥さん!目を覚まして!」
しかし目を覚ますどころか声が聞こえているような気配も感じない。
「キイィィィィィ!!」
つんざくような声をあげ、品定めをするようにこちらを見ている。
そうして私の方を凝視して、見つけたと言わんばかりに翼を大きく広げる。
「これは…対処できるかな…?」
周りを見ても焼野原が広がっているだけで正直逃げ場がない。
この状況で飛んでる相手では逃げることも隠れることもできないし、前の王様みたいな攻撃が来たら防ぎきれる自身はない。
そうして構えていると、不死鳥は大きく息を吸い始める。
「魔王様!ブレスです!」
「…!クリエイトアイス!ウォーターボール!シールド!」
ハルの声に反応して考えうる限りのブレス対策の防御をする。
「キイィィィィィ!!」
不死鳥の口から巨大な炎が吐かれる。
ジュワアァァッ!と作った氷が解けていき、水も蒸発され、シールドに到達する。
「熱っ…!」
炎に熱せられ、まるでマグマの中にいるようだ。
しかし思ったより威力はないようなのでシールドでどうにか耐えられる。
「くっ…」
そうして5秒…10秒…20秒と長い時間火炎に包まれ続ける。
「一体いつまで…!」
ピシッとシールドに少しひびが入る。
その時、
「こっちじゃ!!」
叫び声とドカッ!という音が響いたと思ったら、炎は唐突に消えた。
「リリス!」
リリスは横から回り込んで不死鳥の顔を思いっきり蹴ったようだ。
「助かったよ!」
「礼は弾んでもらいたいものじゃ!」
にやりと笑う。
ハルを探すとアーサーを少し離れたところに置こうとしているようだった。
援護しつつハイドの魔法でやり過ごすつもりなのだろう。
不死鳥は顔を振っている。すぐにまた攻撃に移るだろう。
リリスはやる気だがハルやアーサーは倒すつもりで攻撃するべきか迷っている。
だからと言って手加減はできない、防御に徹してもジリ貧。
…いや、これは今選択しないと全滅する!
「みんな!全力で不死鳥を倒して一目散に下山するよ!」
「…!わかりました!」
ハルは上空に飛び立った。
不死鳥はその名の通り不死だ、殺してしまっても大丈夫。
それに一度死ねば復活するまで時間があるはず!
「サンダーランス」
雷の槍を生成する。
まずは攻撃しつつ時間を稼いで作戦を…。
そう考えていると不死鳥が奇妙な動きをしだした。
「キッ…クッ…」
地面を足で掻き、小さな炎を地面に向かって何度も吐いている。
「なんじゃあれは…」
不気味な光景だ、いやでも!
「なんにせよチャンスだ」
雷の槍を投げようとしたとき、なぜか後ろの方でボコッ!と何か音がした。
「えっ…」
後ろを見ると腰くらいまでの高さがある人型の土塊が地面から何体も生えてきている。
その人型の土塊一体一体には右目にあの機械が取り付けられてあった。
それらがこちらに向かって歩いてくる。
「こやつらは…」
「友好的な感じじゃなさそうだ…ね!」
一番近い一体に雷の槍を投げて食らわせた。
不死鳥に続いてこれらも相手にしなきゃならないのか…。
「アーサー!」
ハルの叫び声を聞いて振り返るとアーサーがその土塊に襲われている。
そうして間一髪、ハルがアーサーをまた抱えて空へ退避させる。
「ハル様、助かりました!」
「よかった。でも…」
「囲まれたのぅ」
不死鳥が儀式は終わったと言わんばかりに向き直った。
「さて、どうしよう」




