交渉
「おじーーちゃーーん!!あなたが不死鳥なのーーー!?」
「うん?おお!そうじゃ!わしが不死鳥である」
大声で叫んでやっと聞こえたようだ。
「これが不死鳥…そう…ですか…」
ハルはかなり落ち込んでいる。
「いやあの…まだわからないから」
「あー腰が痛いのう…目がよく見えんからわからんわい」
そう言う不死鳥は体をひねったりしている。
「ぬしよ、こやつはもうダメじゃ」
「いや諦めないで!」
まだ何もやってないよ。
「そうですよ、少なくとも羽をもらわない限りは帰れません!」
アーサーは前に出る。
「不死鳥様!私たちはあなたにお願いがあってきました!」
「ん?おお!人間の子供か?よいよい!近くによれ!」
「え…」
いやキャバクラか!
「うちのアーサーちゃんに変なことしないで!」
そう言って間に入る。
「なんじゃい!貴様…ん?よく見たら魔族じゃな!それにハーピィと…ちっこい角付きもおるな!貴様らにやるものなど1つもないわい!」
「ちっこい…。なんじゃこやつ、殺してもよいのか?」
「よいわけないでしょ」
っていうか対応に天と地の差があるよ…。
「あの、不死鳥様」
「おお!嬢ちゃんに言ったんじゃないんじゃよ。飴あるぞ、小遣いもやろう」
そんな孫が久々にやってきたみたいな…。
「いえ、この方たちは私の仲間です!できれば粗末に扱わないでほしいのですが」
「なんじゃと…?」
「お願いします!」
アーサーが頭を下げる。
「…嬢ちゃんの頼みじゃ。まぁいいじゃろう。感謝するがいいぞ!」
「はぁ…ありがとうございます」
ものすごく偉そうだね…。
「それと、もう一つ頼みが!私たち、不死鳥様の羽を2本ほどいただきたいのです」
「なに?わしの羽をか!うーむ…しかしなぁ…嬢ちゃんの頼みでも…」
考え込む不死鳥。
やっぱり何か難しい理由でもあるのかな。
「お願いします!悪いようには使いません」
そう言って改めてアーサーは頭を下げる。それに合わせて私とハルも頭を下げた。
「…一つ条件がある」
「条件?」
なんだろう、伝説の何とかを取ってこいみたいな難しい条件だったらいやだな。
「嬢ちゃん、こっちに来て肩を叩いてくれんかの?」
「え?」
全然違ったよ。いや助かるけども。
「はぁ…ごめん、アーサーちゃん、頼める?」
「はい、でも、あの…」
「問答はいいから早くしてくれぬかのう…」
リリスが座り込み始めた。
「…わかりました」
そう言ってアーサーは前に出て巣の中に入る。
不死鳥は寝転がり、その上に乗ってしゃがみながら手探りで押し始める。
「あぁ、夢だったんじゃよ…」
なんだこの構図。
っていうかどこが肩なんだろう。
それに大きすぎるからどっちかと言うと足揉みだよね。
「魔王様、上から不死鳥を観察しても?」
ハルがそわそわしている。
まぁおじいちゃんだったとはいえ見ておきたいのだろう。
「いいよ、行ってきな」
「ありがとうございます!」
そう言ってハルは上に飛んでいく。
ちなみにリリスは寝ている。
「あの、不死鳥様、聞きたいことがあるのです」
「なんでも聞け、今なら何でも答えてやるぞい」
アーサーちゃんも抜かりないね。
「海の底にある秘宝か?世界の名所か?金鉱脈も知っておるぞ」
なにそれ、正直すごく知りたい!
「いえ、私が聞きたいのはそういうのではありません。不死鳥様、300年前、あなたがグリフォンに殺されたことを覚えていますか?」
「んん?グリフォン…。すまんなぁ、復活が行われると記憶が曖昧になるからあまり覚えておらんのじゃ」
「そうなんですか…ではカルル・ヴェイルという名前に聞き覚えは?」
「カルル…なんじゃったかのう、知っておる気もするが…いずれにせよ300年も前じゃからのう」
「お願いします!思い出せませんか?その方が来た後、謎の光がグリフォンを照らし、殺されたはずなのです」
「うーむ、謎の光…」
考え込む不死鳥。
「そういえばあの時…そうじゃそうじゃ!思い出したぞ!」
何かを思い出したようだ。
その時ハルが急に騒ぎながら降りてくる。
「魔王様ーー!!」
どうしたんだろう?
「何かあったのー!?」
「む…」
リリスも何かに気づき飛び起きる。
「避けろ!ぬしよ!」
衝撃。
リリスは飛びつくように私を押した。
「な、なにを…!」
その瞬間、私がいたところを光が通過する。
「え…?」
通過した先を見ると不死鳥にその光が当たったようで全身が光っている。
「キイィィィィィ!!!」
つんざくような高い声が上げて不死鳥は起き上がる。
「アーサーちゃんは!」
後ろの方を見てもどこにいるかわからない。
「魔王様、ここです!大丈夫です」
ハルがアーサーを抱えている。
リリスが私をかばったのを見て方向転換したのだろう。
「重大な…エラー…。バグを排除します」
また…今回はこうなるのか!




