天衝山の不死鳥
私たち4人は不死鳥が住んでいると言われている山頂目指して進んでいく。
周りには木などなく丸禿、岩だらけである。
「あ”あ”!!肉…肉…!」
リリスがうるさい。
「あのね、さっきからずっとそれだよ?少しは黙ってよ」
「乾いたパンはもう飽きたのじゃ!肉…肉が欲しい!それに疲れたのじゃ!」
あーあ、駄々をこね始めた、こうなったらしばらく止まらない。
「得意の嗅覚で野生動物でも捕まえられないの?」
「できたらそうしておる。しかし焦げた臭いで鼻が効かぬ。それにこの有様では同じではないか!」
まぁこの岩だらけの状態じゃ生息している動物もいないか。
「とにかく帰ったら食べさせてあげるからおとなしく…」
そうしてなだめようとしたがリリスは急に明後日の方向を向き出した。
「どうしたの?」
「…何か来おるぞ」
そうしてリリスが向いている方向を見ると確かに空から高速で何かが近づいてくる。
ジッと見ていると姿がはっきりとしていく。
「あれは…グリフォン!?」
鷲のような頭、羽が生えていて下はライオンの姿だ。
「キシャアァァ!!」
明らかにこちらに敵意を持っている。
「私が行きます!」
近づいてくるグリフォンに対してハルが飛び立とうとする。
しかし、
「肉ーー!!」
次の瞬間には隣にリリスはおらず、グリフォンの喉元を噛み切っていた。
「嘘ぉ…」
「ギヤァ…」
いいところが全くなくズズンと撃ち落とされるグリフォン。
リリスの3倍くらいデカいんだけど…。
「ペッ!ペッ!生はまずいのう!ぬしよ、焼いて食うぞ!」
「はぁ…そうだね…」
そんなに肉を食べたかったのか。
「…」
アーサーが何か考え込んでいる。
「どうしたの?アーサーちゃん」
「あ、いえ。王都に行ったときに読んだカルル・ヴェイルの本を思い出していました」
「あぁ、あの突然光って不死鳥を殺害したみたいな話だっけ」
「魔王様、グリフォンはちゃんとここに存在して生息していました。少なくともカルル様はこの場所へ来ている可能性が高いです」
「なるほど、確かにそもそもあの本自体が嘘の可能性もあったわけだしね」
上に登れば何かわかるのかな?
「何をしておる!早くするがよい!丸焼きじゃ!」
リリスがグリフォンを串刺しにして焼こうとしている。
つくづくシリアスな雰囲気をぶち壊すね。
「丸焼きは時間かかりすぎるでしょ?」
まぁそれがいいところだけど。
そうしてグリフォンの肉を焼いて切り分けて全員で食べた。
マズいし切り分けるときはグロかったけど…。
その後、数時間かけて登ったが他のグリフォンに襲われることはなかった。
最初にリリスが強さを見せたのがよかったのだろうか。
そうして頂上に到達する。
「着いた…勾配があると結構きついね」
そうつぶやきながら周りを見渡す。
少し広めの広場のようだ。
パッと見ても何もないようだけど…。
「うーん、パッと見て不死鳥が住んでいるような場所っぽくはないよね」
特に何があるわけでもない野ざらしだ。
「私が上空から見てきます」
そう言ってハルが10メートルほど飛び立っていく。
「どう?ハルさん、何か見える?」
「少しお待ちを!」
周りをぐるりと見ていく。
1分もしないうちに戻ってきた。
「見つけました!間違いないと思います!」
そう言うハルは少し興奮状態だ。
「ほんと?どこ?」
「反対側です。少しくぼんでいる場所がありました」
早足で駆けていく。
「待ってハルさん!」
そうして3人でその場所へと行く。
確かに反対側を少し降りたところにくぼんでいる場所があった。
その場所は広く、直径30メートルはありそうな鳥の巣が鎮座していた。
その中からもぞりと動く赤い羽根を持つもの。
「神々しい…」
見上げるほど大きな鳥は、ゆっくりと起き上がる。
細い目、黄色いくちばし、しなる首、美しく燃えるような赤い羽根、それらがキラキラと光っている。
それが不死鳥であることは一目でわかる。
「あなたが…不死鳥…」
自然と声が出る。
こちらをゆっくりと見る。
そうして不死鳥が口を開いて聞こえた声は、
「はぁ…?なんじゃって?」
老人のボケたような声が突き抜けた。
おじいちゃん、ちゃんと耳こっちに寄せて…。




