ゾンビ猪
「ハルさん!アーサーちゃんを安全な場所に!」
「しかし魔王さま!」
「私も戦えます!」
「時間がない!私もすぐ逃げるから助けに戻ってきて!」
「…わかりました!ご武運を!」
そうして無理やり納得させてハルはアーサーを抱えて飛んでいく。
猪はそちらを見向きもせず私の方へ向かってくる。
10秒もすればここに到達するだろう。
「ファイアボール!」
火の玉が猪に向かって飛んでいく。
避けることもせず顔に当たった…が、効いている様子もない。
「ちょっとはスピード緩めてよ」
魔法陣の簡易トラップを設置して私も全力で逃げ出す。
「リリス!足元鎖トラップ!気合で避けて!」
「なにぃ!?無茶言うでない!」
そう言いながらリリスはトラップを踏んで、出てくる鎖を紙一重で避けていく。
「さすが!」
「ひぃ!知っておらんかったら食らっておったぞ!」
そのすぐあと猪がトラップを踏んでいく。
鎖が猪の足を縛り、ズザァ!と体制を崩させる。
「今だ!ファイアボール!ファイアボール!ファイアボール!」
ドドド!と連続のファイアボールを発射させて猪に当てていく。
「やるのぅ!」
煙でよく見えないが完全に転んだようだ。
「これでどうにかなる相手ならいいけど…」
しばらくするとバキッ!と鎖を引きちぎる音が聞こえる。
そうしてゆっくりと立ち上がる。
「ひぃ!顔ちょっと溶けてるよ!これ生きてないの!?」
鳴き声も聞こえないしどう見ても腐っている。
「ぬしよ…」
「う、うん…」
「「逃げるよ(のじゃ)ーー!!」」
そうしてよくわからない猪から逃げていく。
「このままじゃ…弱点を!よく観察を!」
そうして逃げていくが後ろを見ながらではすぐに追いつかれてしまう。
「魔王様ーー!!」
「えっ?」
上を見るとハルが飛んでいるのが見えた。
「お待たせしました!私は何をすれば!!」
ナイスタイミング!
「ハルさん!やつを見て!観察を!何か弱点になりそうな箇所はない!?」
「確認します!少々お待ちを!」
そうして猪の周りを飛び始める。
「はぁ…はぁ…余はもう…限界じゃ…」
「頑張って!諦めたら死ぬよ!」
そうしてしばらくの間逃げ続ける。
すると、
「魔王様!どこを見ても全身が腐敗!右目の鉄の部分が何か音を立ててバチバチといっているようです!」
ハルが報告をしに来た。
「右目の部分!?」
あそこが命令部分なのか、だったら一か八か!
私は振り返って立ち止まり、魔力を籠める。
「魔王様!?」
「立ち止まるでない!死ぬぞ!」
「ハルさん!ウォーターボールを右目にかけて!」
「…!ウォーターボール!」
すかさずハルがウォーターボール唱えた。
バシャリと水がかかり、少し怯んだようだ。
「サンダーランス!」
私の方は雷の槍を生成する。
「これで…どうだ!」
右目に向かって投げる。
眉間に当たり、水を通じてバチバチと鳴る。
「…!!」
声は出さないが走るのをやめ、苦しんでいるようだ。
そしてしばらくした後、ボンッ!と右目の機械が爆発する。
ズズーンと倒れ、猪は私の目の前で完全停止した。
「はぁ、うまくいった…」
リリスとハルが駆け寄ってくる。
「ぬしよ、よくぞ倒した」
「魔王様!ご無事で!?」
「ハルさん、ありがとう、ハルさんがいなかったら倒せなかったよ」
礼を言い、猪に近づいていく。
「これ、なんだろうね?」
破壊された機械を見てつぶやいた。




