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魔王様は足止めたい  作者: たっつん
不死鳥
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再出発

「魔王様すごいです!あんなに苦労した敵をこんなに一方的に!」

「わっ!」

アーサーが抱き着いてくる。

「見ていた限り罠にかかりやすそうな性格していたからね。さすがに正面から戦ったら10秒も持たないと思うよ」

というか正直こんなにきれいに全部引っかかるとは思わなかった。

もういくつか保険はかけてたんだけどいらなかったね…。

「それにしてもこの場所は一体…?」

ハルが落とし穴やロープが落ちている惨状を見る。

「私が使っている訓練場だよ。一対一で戦うこともあるかなと思ってこういう場所を作ってみたの」

まぁ肉弾戦は苦手なので罠を作りまくっていたらこんなことになっただけだけど。

「私も魔王様と戦ってみたくなりました」

「えぇ!?やめてハルさん。それにこういう戦い方は多分みんなには通用しないよ。リッチーさんは不用意に近づかないだろうし、ズメイさんは勘で察知して避けるだろうね。ミドリさんは看破して逆に利用されそう。ハルさんもおかしいと感じて正面から戦わないでしょ?」

「それでも1つか2つは引っかかりそうですが…」

おお!最近は場数も踏んでるし私も成長しているってことかな、戦いたくはないけど。


「さて、この子どうしようかな…?」

その辺に落ちていた木の棒で気絶しているリリスをつつく。

ねじ伏せたのはいいけど正直扱いに困るね。

「魔王城の檻に置いておくのが一番じゃないですか?」

「魔王城か、でもなぁ…」

アーサーの提案に眉を顰める。

私の仲間をポンコツ呼ばわりした子を魔王城に放置したくはないかも。

まぁしょうがないか。

「連れていこうか」

「え!?しかし!」

「はい起きてー。そこまで強い電撃は食らわせてないはずだよ」

ハルの抗議を無視してリリスを木の棒でつつく。

「う…む…?はっ!勝負は!?」

飛び起きて距離を取る。

「あなたの負けだよ」

「なに!?余はまだ負けては…!それに卑怯ではないか!正面から戦っていたら勝っていたのじゃ!もう一度戦えば…!」

子供のように駄々をこねる。

「はぁ…あなた実戦でもそれで言い訳するの?もうあなたの戦闘パターンは全部分かった。何回やっても一緒だよ」

「そ、そんなことは…!」

「とにかく!あなたは私に負けたので言うことを聞く義務があります」

「どういうことじゃ!?そんな話聞いたことな…」

「だから私たちについてきて。あなたを野放しにはできないから」

「なに?余は…しかし…勇者を…!」

「ごちゃごちゃ言わない!いいね!」

「うぅ…はい…」

ビクッと反応し、涙目で返事をするリリス。

私はこの子の何に怖がっていたんだろうか…。

あの時の威厳が全くない。

心はただの子供なんだろうね。



その後、一度魔王城に戻って事情を説明。

そのあと魔境の端まで転移して出発することになった。

大事にしたくないので2回目の見送りはリッチーのみである。

「まさかリリス殿を倒して帰ってくるとは…。お見事です」

「手放しで褒めてくれるのは嬉しいけどリッチーさんも攻略法がわかれば簡単に勝てると思うよ」

相性悪そうなのはズメイさんとかかな?あの人罠とか絶対仕掛けないだろうし。

ん?そう考えると前に戦った時は人選ミスしてたのか、もっと観察眼を鍛えなきゃ。


「あの…それより魔王様。お言葉ですがそれは絵柄がよくないのではと」

「え?」

ハルの目線の先は私の手の紐へ向けられている。

紐の先は不満そうなリリスの首につながれている。

「あぁ、でもこうでもしないとどこかへ行っちゃいそうだから」

「失敬じゃぞ。しかしまぁ…この首輪と縄はよい…。よいのじゃが…それよりなぜ余が荷物持ちなのじゃ!」

そう、リリスは自分の体ほど大きいリュックを背負って立っていた。

「え?だってアーサーちゃんは位置の把握、ハルさんは護衛で大変だから。私は片腕であなたの見張りが必要だし…。それに力もあるんだしちゃんと働いてもらわなくちゃ」

「しかしじゃな…」

「あの…魔王様、私は荷物持てますよ…?」

アーサーがおずおずと手をあげる。

「大丈夫だよアーサーちゃん。温存できる体力はちゃんと温存しなきゃ」

「余はいいのか…」

「それにここに置いて行ったらボロ雑巾になってたとか嫌だし」

「ボロ雑巾!?なんでじゃ!?」

「いやだって私の右腕壊したのも無理やり眷属にしたのもあなただし。何もするなとは言うけどさすがに保証はできないから」

「い、行く!荷物持ちでも何でもするから付いて行かせてくれ!」

「よし!」

従順になったなぁ…。

「じゃあリッチーさん、行ってくるね」

転移陣を起動させる。

「承知しました。お早いお帰りをお待ちしております」

「転移!」

そうして4人で不死鳥の山へ行くこととなった。

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