約束
アーサーが体調悪そうにこちらをにらみながら見ている。
他の3人もにらみこそはしないが通すつもりはないようだ。
「アーサーちゃん、みんな…」
「リッチー様、立てますので」
「はい、お気をつけて…」
そう言って抱えられたアーサーは降ろされるがフラフラだ。
「あ、無理しないで…!」
駆け寄ろうとすると、
「はぁ…魔王様、何回同じことをやっているんですか…」
あれ、呆れられてる?
「あの…どういう?」
「1回目は勇者様が攻めてきたとき、私を安全な場所において一人で特攻しましたよね。あれはショックでした…」
「え…ごめ…」
「2回目はケンタウロス様達に死ぬつもりで足止めでしたね。あの時ほど終わりだと思ったことはありませんでした」
「は、はい…」
「3回目は私はいませんでしたが海王様がしっかりしろと説教されたようで」
「なんでそれを…!」
「それで今回です」
「…!」
「私たちはそんなに信用できませんか?」
アーサーの目に涙がこぼれる。
その一言がとても重くのしかかる。
「…!そんなこと…そんなことない!」
「じゃあなんで一人で行こうなんて!」
「今回は私の問題だし…みんなを巻き込むわけには…」
「魔王様の問題は私たちの問題です」
「う…それに私は…アーサーちゃんが捕らえられた時、とても怖くて…連れて行くなんて」
「そんな感情、捨ておいてください!」
「そんなの…めちゃくちゃだよ…」
アーサーがこちらに歩いてきて頭を私の胸の下のあたりにトンと押してくる。
「めちゃくちゃでいいんです」
「…」
無言の時が流れる。
後ろの3人も何も言わずじっとこちらを見ている。
そしてゆっくりとアーサーの口が開く。
「約束してください」
アーサーが小指を差し出してきた。
「約束…?」
「私は、いいえ、私たちは絶対に戦いで死にません。魔王様が守らなくともです。その代わり、もっと私たちのことを信用してください」
「信用…」
「私たちは仲間で…家族なんですから…」
「あ…」
ゆっくりと左手を差し出して小指を絡め、アーサーが抱きしめてきた。
私の目からも涙が出てくる。
「ご…ごめん…なさい…」
「いいんです…」
そうして私たちは約束をした。
「あー…とはいえアーサーが君たちを呼んでくるとは…」
ミドリが3人に合流する。
「慌ててこちらへ来たので何事かと…フラフラだったので抱えて皆を呼びに回った形です」
「はっはっは!行かせるわけにはいかないからな!」
「アーサーも魔王様も困ったものだ。そこがいいところではあるがな」
二人の約束を見ながらそのような会話をしていた。
「はい、では恥ずかしいところを見せましたが…とりあえずアーサーちゃんが回復するまで一旦保留とします」
隣で私に寄りかかりながらアーサーが寝ている。
「いい加減もうこれっきりにしてくださいよ?心配するのはこちらなんですから…」
ミドリがため息をつきながら見る。
「うぐ…善処します…」
説教されるのはもうこりごりだ。
私はこれまで間違いすぎた。
本気で生きていくならみんなのこともちゃんと見ていこう。
そう決めたのだった。
感動シーンにする予定なかったのに感動シーンになってしまった…。
全部一人で行こうとしたエルクルが悪い。
でも必要だったんです。




