治療への道
「私と一緒に不死鳥のいる山へ向かいましょう!」
笑顔で詰め寄ってくるアーサーに戸惑いを隠せない。
先の戦いで動かなくなった右腕を直す方法について、アーサーとミドリの二人は黙々と調べてくれたようだ。
「えーっと…なに?不死鳥…?」
「不死鳥、それは文字通り死なない鳥です。自身の治療と再生が可能。殺しても数日で復活ができ、何百年かに1回は自ら復活を行っているようです」
ミドリが説明をしてくれる。
「その身や羽などは昔は治療の素材としてよく使われていたそうです」
え、身も!?死んでも生き返るから?何それ怖い。
「あれ?でも私の右腕って治療では無理なんじゃ?神経自体が切れて死んでるから特殊な処置が必…要…だっ…て…」
説明したくてしょうがないアーサーが徐々に詰め寄ってくる。
どうしたんだろう、今日はテンション高いね。
「はぁ…」
ミドリはため息をつきながらアーサーに手を差し出し説明を譲る。
「それが違うんです!素材には治療だけでなく再生の力もあるんです!」
「再生?治療とどう違うの?」
どちらもファンタジーだし正直一緒に感じる。
「全然違います!治療は無事な組織をや情報を参照して自身の回復を早めたり元に戻す効果があります!」
「え…?なに?」
アーサーは止まらない。
「一方再生は参照などいりません!組織そのものを作り出し書き換える効果があります。これと治療をかけ合わせれば四肢の欠損さえ元通りに!」
「うーん…」
なるほどわからん。
あとアーサーちゃんが近い。
「えーっと。よくわからないけど、つまり右腕の神経を繋げるものを再生で作り出してそれを治療で治せばまた動かせるってことかな」
「そうです!だから魔王様の右…うで…も…なお…」
急にパタリと倒れるアーサー。
「ええぇ!??どうしたの!?大丈夫!?」
「安心してください」
アーサーを抱きかかえるミドリ。
「ただの疲労です。ここ最近頑張っていたので」
「あー…」
電池切れか。徹夜のしすぎでやっと有用な情報見つけたからテンション高かったんだね。
「ごめん、しばらく寝かしといてくれる?」
「わかりました」
そう言ってミドリはアーサーを抱えて寝室へと向かっていく。
「あ、それとミドリさん!アーサーちゃんを運び終わったら裏門の前まで来てくれる?」
「わかりました、ではまた後ほど」
不死鳥、とても聞き覚えのある名前だ。
というかつい最近その名前を聞いたばかりである。
王都に行ったとき、ファウストさんが教えてくれた謎の光について書かれている本。
「確か、カルルの旅行記だったかな」
300年前にグリフォンに殺害されたみたいな話だったけど、まぁ復活できるならしているでしょ。
魔境の地脈みたいな感じかな。
そんなことを思いながら裏門の前で待つ。
「…」
「お待たせしました…その格好は…」
中からミドリが出てきて私の恰好に驚いている。
それもそのはず、王都に行った時と同じ荷物を持って待っていたからだ。
「さすがに誰にも言わずに行くのは悪いかなと思って」
「…つまり、不死鳥のところへお一人で向かうと?」
「…うん。何かあった時、いつでもすぐに出られるように準備しておいてよかったよ」
こんなに早く役に立つとは思わなかったけど。
「なぜ!?であれば私も一緒に…!」
「…」
「…いえ、そういうことを頼みたいわけではないのですよね」
「うん」
そう、私は怖いのだ。
もう魔王城の方は大丈夫、でも今から行く旅は?
今まで簡単な戦いなんてなかった。
誰を失ってもおかしくなかった。
全開は腕一本でどうにかなったけど次は誰かを失うかもしれない。
片腕では守れる自信なんてない。
「…」
戸惑い、悩んでいるミドリに困ったような懇願する。
ミドリさんならわかってくれるはずだ。
「…本には西の山の天衝山に住んでいると言われていましたが現在はわかりません。羽を1本、できれば2本持ち帰ってきてください」
ミドリが仕方ないという顔でこちらを見た。
「ミドリさん!…ありがとう。みんなにはうまく言っておいて」
「…後で怒られますよ」
「あははっ!誠心誠意謝るよ。それじゃあできるだけ早く帰ってくるから」
そうして道を歩いていこうとすると、
「行かせませんよ」
「えっ?」
振り返るとズメイ、ハル、そしてリッチーに抱えられたアーサーがそこにいた。




