システムの力
「種は割れたよ、おとなしく観念して!」
正直観念するなんて思わないけど一つ追い詰めたはずだ。
「はぁ、しょうがないの。あまり使いたくはないのじゃが…」
右手を掲げだした。
「覇王の腕輪よ!」
来た!光が来る前に!
私も同じく右手を掲げる。
「王者の腕輪!」
同時に2つの腕輪から光が放たれる。
2つの光は中央で相殺されるように虹色に輝いて消えていく。
「な、なんじゃその腕輪は!?」
周りを見るがみんな苦しんでいる様子はない。
よかった、ちゃんと機能してる!
割れた王者の玉だけがカチカチとなっている。
「魔王様、その腕輪は…?」
アーサーが尋ねる。
「これは王者の腕輪、覇王の腕輪の対となるものであの光を無効化できるの」
これで二つ追い詰めた。
「かっこいいのぅ!その腕輪!」
じっと私のつけている腕輪を見る。
大丈夫、割れている玉は向こうからは見えないはず。
「魔王様、我の後ろに」
「アーサーちゃん、拙者もいるでござるよ!」
二人が前に出る。
「さぁ、これであなたは完全に不利になった!降伏するなら今のうちだよ」
そう言いながらも警戒は一切解かない。
だが数の上でも対等な条件以上にはなったはずだ。
「これで勝ったつもりかの?その腕輪は余の左手につけるとしよう」
しかし不敵な笑みを浮かべながらリリスは言う。
やはり言葉ではダメか。
ズメイとロンギが構え、私はファイアボールをいつでもすぐに放てるよう魔力を籠めだした。
「疲れるのじゃが、余の本気を見せてやろう」
リリスはクラウチングスタートのようなポーズをしだす。
「魔王様、今までと違う、変な魔力が…」
アーサーの顔色が悪い。
「隙だらけでござるよ!」
ロンギが駆けだして拳を打ち付けようとする。
「ぬ…待て!ロンギ!」
ズメイが叫んだその瞬間、時が止まったかのような感覚を覚える。
リリスがいた場所の地面からガン!という音が鳴り、ロンギは跳ね上げられたかのように空中でのけぞっていた。
それと同時に天井から何か音がする。
ズメイは上にいる何かを見上げている。
そして1秒もしない間にまた天井からガン!という音が鳴り、気が付けばズメイは地面に沈んでいた。
「えっ…」
「魔王様!シールドを!」
アーサーが叫び、我に返る。
「はっ!シールド!」
シールドを張った瞬間、ガキィン!!という音が鳴り、シールドにひびが入った。
「はっ…はっ…」
この感覚、知っている。
つい最近見た。
魔力感知を覚えてからわかるその歪さ。
王様の魔力、勇者一行の魔力、暴走時のケンタウロスの魔力。
少しの違いはあるがとても酷似している。
そしてその魔力の持ち主は規格外で圧倒的な力を持っていた。
「例の光、システムの力…?」
「はぁ…はぁ…疲れるのぅ。じゃが、これで一対一じゃ」
リリスは私とアーサーの後ろにいた。
全く見えなかった…。
こんなに力の差があるなんて。
それに王様レベルの規格外なものを見せられたら…。
「はぁ…それに…その腕輪も不完全なようじゃ。持つのはあと1回か2回かのぅ?」
「あっ」
ひびが入っている玉を見られた!
この一瞬でこちらの手札を…。
気づかないうちに手や足がまた震えだしていた。
ダメだ、また動けなくなる…!




