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魔王様は足止めたい  作者: たっつん
勇者、足止め
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迷いの森

「申し訳ありません!!」

リッチーが土下座をしている。

「なんか見たことある構図だね」

「しかし、あれほどの啖呵を切っておいてこのありさま、死んでお詫びを!」

いやあなたすでに死んでるでしょう。

「いやあなたすでに死んでるでしょう」

おっと、心の声が漏れてしまった。

「やめてください、リッチーさん戦闘とか久しぶりだったでしょうに」

「いえ、しかし…」

「なるほどわかりました。では罰を与えます。あなたは一刻も早く復帰して家事リーダーとして働いてください。」

「魔王様…。承知いたしました。私が復帰しましたらこの魔王城に埃一つなくなるまで徹底いたしましょう!」

「いやそこまでは…まぁいいか、もう行っていいよ」

リッチーさんが出ていくのを見送る。

それと入れ替わりのようにアーサーが入ってくるのが見えた。


「魔王様、これからどうするのですか?」

「アーサーちゃん、もうちょっと休んでてもいいのに」

「いえ、落ち込んでばかりじゃいられませんので。それで…」

「あぁ、そうだね。実はアーサーちゃんが足止めをしてもらっている間人族の王様に手紙を書いた。魔族と友好的な関係を結べないか、勇者一行の現状とかを。魔境に住んでいる集落の人から信頼できる人へ渡らせて送ってる。うまくいけばそろそろ返事が返ってきそうだけど」

その時ドタバタと伝達係であるハーピィ男が入ってくる。

「魔王様!」

「来たか!…嫌な予感が」

「魔王様の手紙ですが届かなかったようです!」

「はぁ、理由を聞いても?」

「わかりませんが、冗談にとられて検閲ではじかれた可能性が高いです」

「なるほど。まぁ魔王から手紙来るってわけわからないからな。使者を送り込んでも打ち取られるだけだし」


あれこれと考えていると念話が飛んできた。

「魔王様、四天王のミドリです。勇者が迷いの森へ入りました。魔樹のマルクと足止め作戦を実行したいと考えています。許可を」

ミドリは植物使いで魔族、マルクは魔樹と呼ばれる木の魔物である。

ちなみに魔族は魔に属した意思疎通ができ話すことができる者たち、魔物は動物に近く話すことができない者の呼び方である。

人族はどちらも魔物と呼ぶことが多い。

「大事な資源だからあまり森は傷つけたくないんだけどなぁ…」

「ここで止めないと被害はどんどん広がります!2人がかりならいけます!」

「なるほど、そうだな、わかった。じゃあ無理とわかったらすぐに手を引くように!」

「お任せください!」


「迷宮ダンジョンは力技で壊したようだがこれなら問題あるまい」

そう言って対策したのはごく少量の混乱の花をそこらにおいて少しずつ方角をずらしていく。

「自分たちがおかしな方向へ進んでいることすら気づかないはずだ」



「僧侶、ほんとにこっちで合っているのか?」

「うーん、道はそれてないのでそのはずなんですけどね」

そう言って何度かグルグル同じ場所を回っている。

「めんどくせぇからこのあたり一帯開けるぞ」

そう言って戦士は斧を振り回す。



ズズンと音がする。

折れ木がある一帯を無理やり開けさせたのだ。

「なに!?いくら何でも常識外過ぎる!マルク!自然な形で森を再形成!」

そう言って魔力を使い気づかれないよう再形成を行う。

通常であればまた迷わせることができたはずだった。



「待て、魔力を感知した。この森生きてるぞ!」

「ほんとか!?魔法使い!」

「待った、場所は…ここから2キロ先のだ!」

そして木々をなぎ倒しとんでもないスピードで直進してくる。



「バケモンかよあいつら!?マルク、根で邪魔を…いや、逃げ…」

これ以上森を傷つけるわけにはいかない。

「迎え撃つ!」

そう言ってありったけの魔力を込めて攻撃へ転ずる。

一方マルクは貴重な植物を避難、池や川を隠すように形成した。


状態異常の花や蔓による拘束、植物の種の射撃全てを戦士の力技でねじ伏せる。

種の射撃に関しては当たっているのに蚊が止まったかのような反応だ。

「こいつどうやったら倒せるんだよ」


そうこうしているうちにたどり着く。

「く、勇者よ、もうこれ以上は森を傷つけさせんぞ!」

そう言って蔓の剣を取り出し戦おうと決意する。


じりじりと接近するが突然

「ふむ、なるほど、君たちは斬らないでおこう」

勇者が前に出る。

「な、なぜだ」

「ここには魔物ではない動物がたくさんいるな。それに水源がちゃんと守られていて森の維持が目的のように感じた。罪のない生き物は殺すつもりはない。行こう」

そう言ってパーティを納得させそのまま通り過ぎようとする。

「勇者…」

「あ、でも攻撃してこないように生命維持に必要な根と葉以外は切り落としていくな」

ズバズバと枝や細かい根などを切っていく

「ジュオォォォ!!」

「マルクー!!」

最終的にはほぼ丸坊主になった魔樹マルクと呆然と立ち尽くしたミドリだけが残されたのだった。



おまけ

「そういえばアーサーちゃん、あの伝達係の名前なんだっけ?」

「アルトレイル・ガロイト・ヘボンループ・ト・リオールケイト・ブルセット・コールトリエイル・サルボンさんですね」

「…」

伝達係でいいや

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