ロンギと海王のかくしごと
「ま、魔王氏!?」
手に持っているアーサー人形をサッと隠した。
「い、いや違うのでござるよ!?これはタゴサク氏が!拙者は…」
手をサッとかざし、言い訳をやめさせる。
ロンギさん、後ろに隠したもの、焦っている海王さん。
部屋を見渡すと海の生物や見覚えのある魔族の人形が飾られていている。
さらにその一部はカーテンが掛けられていて何か隠されていそうだ。
なるほど。
一度深呼吸してニッコリと笑ってロンギさんを見た。
「どうしてロンギさんがここにいるの?」
「ま、魔王氏?その笑顔怖いでござるよ?」
笑顔のままずいっと詰め寄る。
「はよ答えろ」
「ひえっ!城から出かけて戻ったらめちゃくちゃになっていて!か、海王様が匿ってくれたのでござるまする!」
「…」
無言で海王を見るとシレーヌが海王を押し出した。
「ほ、本当だ!このまま放っておくとやられていただろうから保護した」
ふむ、嘘は行ってないみたいだね。
心を落ち着かせる。
「海王さん、ありがとう。あなたがいなかったらロンギさんまで失っていた。やられてなくてほんとよかったと思ってる」
頭を下げる。
「そ、そうか、その礼、受け取っておく」
この場の空気が少し緩和されるのを感じた。
よし、じゃあ本題だ。
「で?その手に持ってる人形は?」
急にピリついた空気に戻る。
「人形!?何を言ってるでござるか?」
声が裏返っている。
なるほど、ごまかすなら容赦しなくていいね。
「あ、アーサーちゃん」
ロンギの後ろを指さす。
「え!?どこでござるか!?」
そのまま振り返ったため後ろに隠していた人形があらわになる。
「あっ!」
手に持っていた人形を取り上げた。
「このアーサーちゃんの人形は没収します」
「あぁ!!殺生でござるよ~!」
なんて情けない声ですがってくるんだ…。
「それで、これで全部なの?海王さん」
「私か!?いや、あの…全部だ」
目をそらしながら答えた。
はいギルティ。
「…」
無言で目隠ししているカーテンを開ける。
「何をする!?やめ…!」
止めようとするがもう遅い。
「うわ…」
10体はあるであろうアーサーちゃんの人形…というよりフィギュアがずらっと並んでいるのが晒し出される。
「あぁ!!」
頭を抱える海王。
「海王さん…」
「あんたこんなもん作ってたんか」
シレーヌさんも知らなかったようだ。
さらに別のカーテンもどんどん開けていく。
アーサーちゃんがメインだけど結構いろいろあるね。
ズメイさん、ハルさん、ミドリさん、リッチーさん、私のまであるよ…。
「おお!我のもあるぞ!」
ズメイさんがうれしそうだ。
「いや違うんだ!私ではなくロンギからの依頼でな!そう、私ではなく!」
「え?しかし私が傑作を作ってやるなどと言ってノリノリだったじゃないでござるか」
「いや、そうではないだろ!?そう言ってくれ!」
「アーサーちゃんファンクラブ、ナンバー2が何言ってるでござるか!」
「お前ちょっと黙れ!」
海王さんのキャラ崩壊がすごい。
上がった株がジェットコースターみたいに下がっていくんだけど。
「はぁ…とりあえず、ここにあるものは全部没収です。作りたければ本人と私の許可を通してからで」
「うわあぁぁぁぁ!!」
「おおおおおおお!!」
二人して涙を流している。
流したいのはアーサーちゃんの方だろう。
「シレーヌさん、ごめんなさい。海王さんの秘密暴いちゃって…」
「ええんよ!こんなんでもいいところはあるしな」
頭を下げる私にどっしりと構えて答える。
「むしろ暴いてくれてすっきりしたわ!」
器の大きい人だと思った。
「あと最後に聞きたいことがあるんだけど」
「な、何でござるか?」
二人が再び警戒しだす。
「タゴサクって誰?」
「海王氏の…」
「その名前で私を呼ぶな!」
海王さんは自分の名前が嫌いなようだった。
おまけ
このアーサーちゃんのフィギュア出来が良すぎないかな。
スカートのしわなんかとんでもなく躍動感がある。
一体これどこまで作り込まれて…。
「…」
キョロキョロと周りを確認する。
「いやこれは変な意味じゃないからね」
誰に言い訳しているのかわからない言い訳をしながらゆっくりとスカートの下を覗いていく。
「魔王氏?」
「うひゃう!」
ロンギが後ろから声をかけてきて飛び跳ねる。
「…」
「…」
見つめあい、数秒の間ができる。
「あの」
「いや違くてね!」
つい出来心で…。




