占拠された魔王城
早く戻らなきゃならないのにいうことを聞いてくれない。
アーサーちゃんが捕らえられ、みんなは私を逃がすためにあそこへ残った。
無事かどうかもわからない。
どうしてこうなったのだろう、私がしっかりしていれば…。
そう、私たちはたった一人の少女に完全敗北した。
リッチーさんも、ズメイさんも、ミドリさんも、ハルさんもあいつには敵わなかった。
それでも、アーサーちゃんだけは守りたかったのに…。
動かない体でそううなだれるしかなかった。
--------------------------
時はさかのぼり、王都から帰還直後。
私、アーサー、ハルの3人の帰りを待っていたゾンビとスケルトンたちに魔王城が占拠されたと報告を聞いた。
「占拠とはどういうことだ!?リッチーやズメイが許さないだろう!」
ハルが声を荒げる。
「もちろん抵抗は抵抗はしました。しかしあまりにも強く、横暴で手が付けられない相手でして」
「ふざけるな!それでもお前らは…」
「待ってハルさん。ごめん、最初から順番に聞かせてくれないかな?」
「はい、つい昨日のことです」
そうして話し始める。
要約すると、昨日の朝、スケルトンが地下で掃除をしていると急に光が発生。
その場に大魔王リリスと名乗る者が現れたそうだ。
魔王城を我が城とすると言い、暴れ始める。
それを容認するはずもなく四天王も合わせて抵抗するが、敗北して捕らわれる。
それを伝えるために別動隊で私たちを待っていたということだ。
「…みんなは生きてるんだよね?」
「はい、意識がない状態で捕らえられています。ここは魔王エルクル様の城だと伝えると、別の場所で復活されては面倒だと言って…」
復活の地脈を知っているのか。
「魔王様…」
不安な目でアーサーはこちらを見る。
ハルと目を合わせ、うなずく。
「行こう、みんなを助けなきゃ」
私は即座に決断した。
「アーサーちゃん、ここに…」
「私も行きます!」
ここに残ってと言う前に答える。
「でも…」
「安心してください、戦闘には参加しません。その代わり捕らわれた魔族たちの捜索を許可してもらえますか?」
確かに敵は一人、戦っている城を調べてもらえるなら助かる。
不安ではあるけど…。
「うん、わかった。じゃあお願いする」
「ありがとうございます」
頭を下げるアーサー。
「ハルさんは私と一緒に来て!」
「もちろんです!」
「それとゾンビさんとスケルトンさんは1人ずつアーサーちゃんの護衛に。その他は待機!」
「「はい!」」
そうして突入準備を始めた。
よし、これでいいだろう。
準備は全員の荷物の整理、それと可能な限り私の回復を行った。
まだ万全じゃないからね。
「じゃあ城の前まで転移するよ」
魔法陣を形成する。
「転移!」
うん、気合を入れよう。
私の仲間たちを拘束…許せることじゃない。
絶対に取り戻す!
そう決意し、一歩踏み出した。
「よし、行こおぉぅ…ぉ?」
そしてずっこけた。
魔王城の頂上に旗。
その旗には下手な子供の字で「大大大ま王リリス、ここにけんざん!」という文字が書かれていた。
決意の一歩、返してほしい…。
「とりあえず自己顕示欲はものすごく高そうだね…」
気が抜けることやるのやめてほしいなぁ。




