帰還
事件が終わってひと段落したところ、私たちは地下へと向かっていた。
メンバーは私、アーサー、ハル、ニチレン、参謀ギルフ、騎士団長の6人だ。
「この先に王がおかしくなった原因と思われるものが?」
ギルフが尋ねる。
「はい、それが何かはわかりませんでしたが、何か関係しているのは間違いないと思います」
王国と王様の名前と起動完了という文字。
未来的な機械。
関係していないということはないだろう。
「お、こんなところにいた、探したよ」
そんなのんきな声を出しながらこちらに向かってきたのは魔法使いのファウストさんだ。
「魔法使いさん!?どうしてここに!」
ニチレンがかけよる。
「あの王様がめちゃくちゃやってるって聞いてね。来たんだけどもう解決したみたいだね」
「ファウストさん…」
「迷惑をかけたようだ、間に合わなくてすまない」
姿勢を正し、頭を下げる。
「いえ、来てくれただけありがたいです」
その言葉を聞いたファウストはパッと頭をあげる。
「お、そうかい?いや面白そうな本があってね!どうしても読みたくて読みふけっていたら遅くなってしまったんだよ!あっはっはっはっは!」
「ほんとおっっっそいよ!!」
なにやってたの!?こちとら死にかけてたんだけど。
「切っていいですか?」
「許可するよ」
「やめてください、ハル様、魔王様!」
慌ててアーサーがハルと私を止めに入る。
「それで、どこへ行こうと?」
「…王様がおかしくなった原因の元へ」
少し考えた後
「面白そうだ、僕も行くよ」
「えっ?」
大丈夫だろうか、引っ掻き回さないかな。
「それに何かあった時、僕がいた方がいいだろ?」
確かに魔力ももうないし戦える人は一人でも多い方がいい。
ワルクさんは王様を見張ってるし。
「わかった、お願いする」
そうして合計7人となった私たちは地下へと降りて行った。
「この先…。あ、あそこです!」
ニチレンが走ってその牢屋へと向かった。
「この牢屋に…え…?」
どうしたんだろう?
私たちもその牢屋へたどり着き、中を見る。
そこには未来的な機械は存在しなかった。
その代わりにその機械をそのままの石化したようなオブジェがあった。
「石…?」
そうつぶやく騎士団長。
「なんだこれは?こんなものは今までなかったはず」
ギルフも初めて見たようだ。
「牢屋の鍵を!」
ニチレンはギルフから鍵を奪うように取り、牢屋を開けて調べる。
私も入り、それを触ってみるが確かにただの石だ。
ファウストがオブジェをジッと見ている。
「ふむ…これは興味深いね、かなり微弱だが魔力の反応がある」
「わかるの?ファウストさん」
そう聞くがゆっくりと首を振る。
「…わからない、でも調べれば少しは解析できるかもしれない」
こちらを向くファウスト。
「僕が調べてもいいかな?」
「えっ?いいの?」
正直願ったりかなったりだ、お願いしたい。
「王の許可は必要だけどね、いいでしょ?」
ギルフに声をかける。
「我々ではこの物体については解析などできません。お願いする」
そうして頭を下げた。
何かわかると思ったんだけど、しばらくは解析待ちだね。
その日は王都に1泊して帰ることになった。
そして翌日の朝、穴だらけの謁見の間にて
「もう行くのか?」
王様が自分の倍ほどの瓦礫を持って片付けながら言う。
王の仕事ではないでしょそれ…。
「はい、あの…内政とかはいいんですか?」
「そんなものはギルフがやっておる」
頑張れギルフさん…。
「それで?」
「ええ、さすがに邪魔になりますし、ここでは私の回復がままならないので」
「ふむ、そうか」
話しているとワルクが通りがかる。
「なんだもう帰るのか!親父に撃ってたあれ、俺の『帝撃』とどっちが強いかやってみたかったんだがな!」
とんでもないこと言うね。
「しばらく『魔攻砲』は撃てないよ。条件付きの技だし私の体が耐えられない。それにまだ未完成だしね」
「そうか、残念だ!まぁまた来いよ!」
「はい!ありがとうございました!」
そうして城の片付けへと戻っていった。
「魔王さぁぁぁん!」
ニチレンがこちらに向かって走ってきた。
「あ、ニチレンさ…ごふ!」
そして思いっきりお腹に頭突きをかましてきた。
「あぁ!魔王様!」
「大丈夫ですか!?」
ハルとアーサーが心配してくる。
「もう行っちゃうんですか!?」
「あの…ニチレンさん、私本調子じゃないから…」
「ああ!ごめんなさい!」
そう言って離れる。
一番の問題児はこの人だね…。
「ふぅ…。ニチレンさん、私たちのためにここまでしてくれてありがとう」
「そんなことはいいんです、でももうちょっとゆっくりしていっても…」
首を振る。
「王様にも言ったけどここにいても邪魔になるだけだし、私も回復の時間を取りたいから」
「そう…ですか…」
うつむいてとても残念そうにしている。
「安心して!また会えるよ。だって私たち、友達だからね」
パァっと笑顔を見せる。
「…はい!」
「ではな、次は歓迎をもって迎えることを約束しよう」
王様が左手を差し出してきた。
「えぇ、次会える時を楽しみにしています」
それに応えるように握手をした。
そうして転移の間へと私たちは歩き出す。
ニチレンさんは最後までこちらを見ていた。
うん、また来るよ。
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「魔境の近くまでの転移、随分楽でしたね」
「そうだね」
そんなことを話しながら歩いていると。
「あれ?あそこにいるの…」
ゾンビとスケルトンたちが何やら騒いでいるようだ。
「あ!帰ってきたぞ!」「あぁ、よかった!」「魔王様だ!」
そうしてみんなに囲まれる。
「おっと、みんな、どうしたの?」
「魔王様!大変です!あぁ、どうしましょう!」
お出迎えではなさそうだ。
「ちょ…落ち着いて!」
何だろう、トラブルでもあったのかな?
「魔王城が…魔王城が…」
「?」
「魔王城が!大魔王と名乗るものに占拠されました!!」
「…えっ」
4章へ続く




