一件落着
「うわ…」
近くにいた騎士団の人をも吹き飛ばして放った1発は全てを削り取り何も残されていない。
それに城に向かって打ったものだから向こう側まで風穴が開いている。
これ城崩れないかな…。
「あ、そんなことより王様は…」
「魔王様、肩を!アーサーは左側を」
「はい!」
ハルとアーサーに支えられながら向こう側を覗く。
「安心しな、この程度じゃ死にはしねぇよ」
ほんとにあの王様人間なのか…?
というかこの人、おいしいところ全部持って行ったね。
「おーい!こっちだ!見つけた!」
騎士団の人が確認をしに行き、気絶している王様を見つけたようだ。
「封印を…」
いや、ニチレンさんの魔力ももうないしどうしよう?
というか自力で脱出するからそもそも意味がないのか。
それに元に戻りかけてたし。
そんなことを考えていたら日が昇り始めたようだ。
それと同時にドクン!と自分の中の力が外へ放出されたような気がした。
「えっ?」
「魔王様?どうされたのですか?」
アーサーが心配そうに尋ねた。
「なんだろう、力が…」
あ、契約魔法…。
許可証を取り出すと契約完了の文字の光が強くなっている。
「契約の影響で力が抜けてる!」
「えぇ!?ど、どうすれば!」
え!?勝利したのに衰弱死!?
ギャーギャーと騒いでいると一人の影が近づいてきた。
「契約の破棄を認めます」
そう唱えると許可証、基契約書が燃えてなくなった。
そして放出された力が元に戻るのを感じた。
「あれ?元に…」
「我々の不手際です、ご迷惑をおかけしました」
声の方を見ると見覚えのある人がそこに立っていた。
「あなたは確か謁見の間にいた…」
王に耳打ちしていた参謀っぽい人だ。
「私は契約の仲介人ということになっています。破棄の許可をいたしました」
こんな簡単なことでよかったのか…。
「あの…」
アーサーが声をかけようとする。
「な、なんだこれは!?体が動かん!」
王様の目が覚めたようだ、この場にいる全員が身構える。
「何も思い出せん!余の肉体を持ってして何たる不覚!」
これは…正気に戻っているかな?よかった。
「おう親父!てめぇ弱くなったか?俺がぶっ飛ばす前より、あいつら魔王にボコボコにされてたぜ」
親指を私たちに向ける。
「ワルク貴様!なぜここに…なに?余が追い詰められていたと?」
「王よ!」
参謀の人が近づいていき声をかける。
「ぬ、ギルフか」
「あなたはおそらく操られていたのです。この惨状を止めるために魔王殿が奮闘を」
目を見開く王。
「…詳しく聞かせろ」
そうして今回の事件の
途中で私たちも加わり説明に回った。
「魔王殿、此度はすまなかったな」
頭を下げる王様。
「いえ、今回は事故のような…」
そう頭を振ろうとしたところ、アーサーが手をスッとこちらに向けて間に立つ。
「本当にそうですよ!契約の問題もあって逃げることも隠れることもできなかったんですから!」
「あ、あの、アーサーちゃん…?」
「ニチレン様の助力がなければ私たちはここにいなかったかもしれません!」
「う、うむ…」
「それに騎士団まで巻き込んで…。まだここにいる人しか冤罪って知らないんですよ!?」
やばい、止まらないよ…。
「それは取り消すように…」
「当たり前です!ただ、王の命令というのは基本的に『絶対』というのが常です」
あの、私取り消しとかたまにやってる気がするんだけど…。
「自分たちの行ったことについてしっかりと自覚をお願いします」
「も、もちろんだ!」
王様と参謀ギルフはうなだれながらも返事をした。
「魔王様もこんな調子ですし、今回の会合は中止ですね…」
確かに見た目はそれほどではないけど中身はボロボロだ。
『魔攻砲』は私ではない魔力をそのまま体に通して使うから反発が大きい。
「すまぬな、こちらも後片付けがあるので少し時間がかかる」
城の様子を見てもそれはそうだろうなという感じだ。
「ただ同盟の件は死んではおらぬ、必ずやまた話し合おうぞ!」
「今回の事件を考慮した『対等』な話し合いを期待していますね!」
「ぬぅ…」
アーサーちゃんの黒い笑顔が見えた。
「お!終わったか?」
「魔王さん!少しですが回復魔法を!」
話をしていたワルクとニチレンがこちらに向かってくる。
はぁ…何はともあれ。
「一件落着かな」
そんな終わり方だった。




