魔攻砲と予想外の助っ人
「うそ…」
封印したはずの王は技を繰り出し自力で出てきた。
これ以上どうすれば…。
考えて構える…がすぐに襲ってくる様子はない。
壊れた機械のように腕や足、頭をカクカクと動かしながら何かに抵抗しているようだ。
「き、キサ、貴様ら、ヨく、よクも…」
な、なんだろう。これ、前も見たことが…。
ケンタウロスが正気に戻った時の?
王も正気に戻りかけてる?
そんなことを考えていたら一歩、また一歩とこちらへ向かってきた。
「もう魔力が…。魔王さん、一度引くべきです!」
ニチレンがこちらに向かって叫んだ。
「私ももう魔力を使い切った、でも…」
アーサーとハルに目を配らせ、うなずいた。
「ごめん、これをやったらしばらく動けなくなる」
「なにを…?」
勇者の戦いやケンタウロスの戦いで私は力不足を感じた。
圧倒的に戦闘力が違う。
だから生み出した。
少なくとも一発、絶対に効く攻撃を。
「未完成だけど」
両手を前にして構える。
「魔王様、私たちが支えます」
ハルとアーサーが後ろにつく。
「うん、ありがとう」
どんどんと手のひらの先に魔力が集まってくる。
これまで使った周囲の魔力の残滓を、そして木や花、アーサーちゃんやハルさんの魔力を少しずつもらって放つ必殺技。
スター〇イトブレイカーって言ったら前の世界の誰かに怒られそうだな。
私の出せる限界だ。
魔力の光が収束し、準備が完了する。
王もそれを察して構え始めた。
「王げ…」
「遅いよ、『魔攻砲』!」
ドオォォォォ!!!
とんでもない轟音がした。
王撃にも匹敵する一撃、普通の人であればひとたまりもないだろう。
数秒、その轟音が続き、私たちは後ろへ吹き飛んだ。
「うぐぅ…こ、これで…」
煙が出ている中、目を凝らす。
少しずつ晴れてきて、人影が見える。
王が血だらけの状態で立っていた。
「これで…ダメなの…?」
もう…ほんといい加減にしてよ!
私、アーサー、ハル、ニチレン、騎士団全員が呆然としている。
「では…」
王が構える。
く…立てない!でもまだ諦められない!
そして、
「王撃」
声が聞こえた。
王の声ではない。
どこからだろう、上?
その瞬間、とんでもない衝撃波でさらに後方へ吹き飛ばされた。
「おう、親父殿!帰ったぜ!」
その斧を持った姿は見覚えがあった。
かつて戦った勇者パーティの戦士、王様の息子。
「ワ、ワルクさん!?」
「戦士さん!どうして!?」
ニチレンが駆けよっていった。
「おっと、僧侶か、ボロボロじゃねぇか」
「あ、これは…」
「それと騎士団に魔王…城もやべぇことになってんな」
振り返り、挙動がおかしい王の方を向く。
「き、キさ、きサま、ワルク!」
「あー、考えるのめんどくせぇわ。なんかわかんねぇけど親父をぶっ飛ばせばいいんだろ?」
話が早くて助かる。
いやでも脳筋が極まりすぎてないかな。
「戦士さん、でも!」
「親父には勝ったことがないだろって?安心しな、一撃で終わらせてやる」
王…いや、ベルクが構える。
「そんなんじゃ俺の新必殺技は破れねぇぜ!」
ワルクが斧を捨て、素手で構えた。
気をため、息を忘れるほどの間。
「王撃」
ベルクの一撃が放たれる。
しかしワルクはにやりと笑う。
その破壊力に飲み込まれるという時、
「帝撃」
王撃より数段大きな破壊が成される。
ドゴゴゴゴゴゴ!!という音とともに王撃もろともベルクを飲み込んでいった。
「ぐ、ワルクウゥァァァァァ!!!」
「はっ!親父越え、完了ってな!」




