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魔王様は足止めたい  作者: たっつん
暴走のケンタウロス
12/12

劇薬のススメと時間切れ

「ちょっと!うちのアーサーちゃん泣かせたでしょ!」

「言葉もない、魔法石をダメにした挙句この失態!申し訳ない」

海王さん人型フォーム、顔全体がイカで目つきは悪くパッと見ていかつい顔だちをしている。元の姿では陸に上がれないため海から出るときは人型に変身して現れる。

そしてそ海王さん人型フォームが渾身の土下座である。

仮にも王が軽々しく頭を下げることに懸念はあるが関係ない。うちのアーサーを泣かせたのだ。

「あのね、ケンタウロスを制御できなかったのはまぁいいんだよ。アーサーちゃんが丹精込めて作った魔法石が数時間でこれってどういうことなの!?これ見て悲しむとか思わなかったの!?」

「魔王様、やめてください!私はいいですから!」

そう言って止めるアーサーの目は少し赤い。

「アーサーちゃん、でも…」

「すまぬ、今回は私の失態、どんな罰でもうけよう。その責任の穴埋めとは言わぬがこれを…」

そう言って懐から布に包まれた魔法石を出す。

「海の秘宝の1つだ。この品質であれば封印魔術として効果は絶大であろう」

見てわかる、明らかに品質が違う。

「えぇ!?海王様、こんな大層ものいただけません」

「いいやもらってくれ。今はこのようなものでしか埋め合わせはできぬ。これであれば封印魔術の短縮が可能であろう」

「確かに短縮はできますが…」

短縮できるのか…うーん…。

「もらってあげよう。今はどうしても時間が惜しい」

この先の森で何日か足止めもしなきゃいけない。もう本当に時間がない。

そしてアーサーを説得して魔法石をもらい、研究室で作業を。

海王は深く頭を下げ、転移で去っていった。



次は森だ。森はできるだけ傷つけたくないんだけど…。

「ミドリさん、何か作戦はある?」

そう言って念話を飛ばす。

「魔王様、今回に最適な方法があります。幻惑魔法です」

「幻惑?確かに効きやすそうな気はするけどケンタウロスたちなら自力で暴れて振り切りそうだけど」

「おそらく問題ありません。幻惑の花を10倍に煮詰め魔法で増幅、その後いくつかの工程を経て完成させた薬をこの戦いのために開発しました。常人であればにおいだけで即失神、1時間もすれば死に至ります」

やばい薬作ってる…。

「勇者パーティレベルとなればまだ足りないと思いますがさらに直接魔法で重ね掛けて対応します。体の性質的に効きやすいケンタウロスであれば何とかなるでしょう」

まだやるのか、オーバーキルでしょ。

「お任せください、必ず封印魔術の実行まで持たせてみせます」

なんていい笑顔なんだ。


そして作戦が実行される。

ケンタウロスは無事森に入ったようだ。

重要な植物などは相棒のマルクがどうにかしているはずだけど。


…落ち着かない、大丈夫だろうか?

いや、直接聞こう。

そう思いアーサーの手伝いを打ち切りミドリさんに状況を聞く。


「魔王様」

「それで、ケンタウロスたちは?」

「順調ですよ」

そう言ってモニターを見せてくれるミドリさん。


「サインコサインタンゲント、サインコサインタンジェルト…」

「スイヘーリーベ、ボクノフネ、スイヘーリーベ…」

「3.14159265357982…」

「イノベーションのためブレインストーミングをしてアジェンダにエビデンスを取り結果にコミットするべきで…」

アホが考えた頭のいいセリフみたいなこと言ってる…。

え、これほんとにヒャッハーしてたケンタウロスなの…?


「御覧の通りです。しかしこれがいつまで続くか…。下手に近づけないので嗅がせるだけではなく上から薬を直接散布してます」

あの劇薬を散布…作戦終わったらこのあたりの森死んでるんじゃないかな。


でもこれなら何とかなるかも!

そう思い全力で封印魔術の準備に取り掛かる。



そうして2日と半日経ったころ、自体は動き出す。

「サインコサインタンジェント!!サインコサインタンジェントおおおぉぉぉぉぉ!!!!」

急に1頭のケンタウロスが暴れだしそれが連鎖する。

「「うおおおぉぉぉぉ!!!」」


「なっ!マズい!魔王様に知らせろ!」

念話が飛び交い、状況が一変する。

「森から出す!準備を!やつら全てを壊すつもりだ!」

あと半日だというのに!

「繋がった!ミドリさん!何があったの!?」

「魔王様!やつらが目を覚ましました!もうここは限界です!」

「わかった、ここまでありがとう!あとは何とかするから!」

「くっ…わかりました!」


そうしてケンタウロスは走り去っていく。

魔境を抜けた先、人族の住む町が見える。

そこは「復活不可領域」に含まれており、もしケンタウロスたちや他の魔族が倒れたとしても蘇ることはできない。

もうすぐそこに――

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